43 ランクアップ
冒険者ギルドの扉を開き腕組みというより抱きついているサユキを右腕にくっつけたまま通ると昨日は無かった視線が集まるのを感じる。
どの受付にいけばいいのか分からなかったので昨日と同じ一番左の受付へと向かう。
「テイムモンスターの登録をしたいんだけど何処に行けばいいんだ?」
「ここで合ってるけどまさか本当にサキュバスを連れてきたのかい?」
「ああ、サキュバスとシャドーキャットとセイントスカラベの登録を頼む。」
「本当に?パーティか奴隷に他の男がいるのかい?」
「え?俺一人だけど。」
「そんなバカな昨日は精力増強系のスキルも持ってなかったじゃないか。今日テイムしたばかりなら悪いことは言わないすぐにテイム解除しな。」
「いや、テイムしてから1週間くらいたってるけど?」
「そんな!ありえない!?」
受付嬢の絶叫で周りのざわつきも大きくなるがこのままでは手続きは進めて貰えそうにない。
「よう兄ちゃん随分キレイどころを連れてるじゃねぇか一人くらい貸してくれよ。」
突然後ろから無精髭の男が話しかけて来た。
これはあれか、お約束と言うやつだなとテンションを上げる。
「馬鹿野郎てめぇ知らねぇのか!」
「何だ?お前も参加したいのか?」
「いいからこっちに来い!すまねぇなこいつには言い聞かせておくからよ!」
「おい離せよ!何すんだよ!!」
突然話しかけてきたお約束男は何もせずに他の男達に引きずられていった。
少し残念だったがどうせ戦うのも俺じゃないし今は登録が先だろう。
引きずっていった男達からせいりょくがどうとかせいぎがとか聞こえてくるが何を言い聞かせているのだろうか。
「えっと、登録を進めてもらいたいんですが。」
「ええそうね、面倒事が起きる前にしてしまいましょ冒険者カードを出して頂戴。」
「はい。」
冒険者カードを取り出して受付嬢に手渡す。
「そんな、昨日は確かに無かったはずなのに。」
カードを受け取った受付嬢が手を震わせてカウンターの上にカードを落とす。
**********
ランク:アイアン
名前:ショウト
称号:精力絶倫
賞罰:なし
**********
精力絶倫
精力や性技で多くの人々に称えられた者に送られる称号。精力強化など性行為関連のスキルを多く持っている者にも送られる。
精力強化
何度でも性交をするために魔力を使って回復する事が出来る。
**********
ステータス画面で簡易鑑定をすると称号の他に精力強化というスキルが増えていた。
どうやら男1人でサキュバスと他の女性を連れ歩いていたことで何やら称賛されていたらしい。
「知らないスキルが増えてる…」
「称号が付くとスキルを手に入れる事もあるんだよ。」
「称号って一つの街で広まったくらいで貰えるものなんですか?」
「街を救った英雄にもつくから不思議じゃないんだけどこういう事は念話でも広まるから…」
「国中で噂されたってことですか、こういうのって名前を知らなくてもいいんですね…」
「そうだね、称号に関してはあまり分かってないからね。今回の事もレアケースとして上にあげさせてもらうよ。」
「はい…それで登録は。」
「そうだったすぐにやるよ。」
カードを拾って羽根ペンで何やら書き込むと機械の上に乗せて青く光らせた。
「出来たよ、昨日言った通り今日からシルバーの依頼も受けられるから頑張っておくれ。」
「ありがとう、早速行ってくるよ。」
**********
ランク:シルバー
名前:ショウト
称号:精力絶倫
テイム:淫魔、シャドーキャット、セイントスカラベ
賞罰:なし
**********
暗い銀色だったカードが明るい銀色に代わりテイムの項目が増えていた。
掲示板に行き目的の依頼書が残っていることを確認して納品出来るものを取って受付へ向かう。
「この依頼の納品をしたいんですが。」
「は、はい!依頼書と納品物をこちらに出して下さい!」
上ずった声で返事をされ案内通りに昨日見かけてリュックに移しておいた素材をカウンターに出す。
「パラライズパピヨンの羽、淫魔の体液、モウドクドクヤガエルの毒、フローティングアイの結晶体、コカトリスの羽ですね。
確認しました。品物、数共に問題ありません。報酬は3人でお分けしますか?」
「いや、俺だけでいい。」
「了解しました。それでは報酬は合計で銀貨43枚になります。」
「はい、ありがとう。」
「依頼ほどは高くありませんが素材の買い取りもしていますので余剰分がありましたら買取カウンターまでお願いします。」
依頼書とすべて同じ数だったせいか買い取りの案内をされてしまったが手を降って返事をする。
これで探してもらってる奴隷を買う資金も出来たな。
後はホーンラビット達を買い取ってもらうために買い取りカウンターへ向かう。
他のカウンターのさらに右奥、大きな扉の付いている裏口に近いカウンターの列に並んでしばらく待つ。
「ん?何も持ってねぇな魔法持ちか?ならあの端のパレットに全部出しな。出した後呼べば計算するからよ。」
「あいよ。」
指をさされたパレットの上にホーンラビット3体、スモールボア1体、フォレストウルフ6体分の素材とゴブリンの角を7体分と薬草を出して職員を呼ぶ。
「おう、きれいにさばけてるじゃねぇか色つけておいてやるよ、これ持って受付に行きな。」
「ありがとう。」
内訳が書かれた木札を受け取って依頼完了受付に並ぶ。
奥にあった買い取りカウンターと違ってまたチラチラと視線を向けられる。
「お願いします。」
「確認します、あら?シルバーの依頼の他の品はもう無いんですか?」
隣のカウンターでやり取りしていたのを見ていたのだろう、金は欲しいが消耗品なのでまだ依頼が出るかも知れないしドロップ品なので他の部位は無い。
「ああ、まだあるけど使うかも知れないし様子見ですね。」
「なるほど、では追加で依頼があった場合はよろしくお願いします。」
「了解だ。」
「では合計で銅貨220枚になりますが両替はしますか?」
「お願いします。」
「銀貨4枚銅貨20枚になります。」
「はい、ありがとうございます。」
硬貨を受け取って「ずいぶん稼いでんなぁ」などと声をかけられることも無く無事にギルドを出る。
これで銀貨67枚になったので余程の美女を連れて来るのでも無ければ安心していいだろう、まぁ見せられればもう一人買ってしまうかも知れないのであればあるだけいいだろうが。
そういえば念話って異世界まで届くのかな?きちんと宿を取ってこちらの世界にいたほうがいいのだろうか。
連絡用にダリアに電話を買う予定だったがすっかり忘れていて買ってないしこちらの世界には持ち込めないしやはり念話は必要か?
迷子になったら出会える気がしないし待ち合わせ場所も決めておくか…
人目のない場所でゲートに入るが時間はまだ夕方だ、買おうと思っていた物を買いにホームセンターに行ってくるか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます