第6話 夢

 夢を見た後で、私は一人だった。


 どうしようもなくて、もう一度眠ることもできなくて、換気扇の下で煙草に火をつける。カラカラになった喉に煙が巻き付いて咳き込んだ。


 咳に震える体を落ち着けて、髪をかき上げれば、脳裏に焼き付いているのは夢でも見た彼の腕だった。


 どうしようもどうしようもない彼の腕だった。


 冷蔵庫の冷たい感覚が背中を滑り落ちていく。


 息が全然、全然整わない。シンクにしがみ付くみたいに立った。


 グラスに水を入れてみれば、やけに光が眩しくて、締め忘れたカーテンから朝日が差してきたことに気づく。


 どうしようもなく、朝は来る。


 もう今日は眠れない。

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