第69話 三人称神視点が大好き
小説の技術的な話はあまりしたくはない(そもそも技術力がない)のですが、小説には人称という概念がありまして、これを読んでいる作家さまには釈迦になんたらだと思いますが、「わたし」視点で書くものが一人称。「あなた」視点で書くのが二人称。「彼」「彼女」視点で書くのが三人称です。
その三人称というのは本来、映画で言えばカメラでずっと撮影している状態で、そこには映し出されているものだけが真実で、心情などの説明はないわけです。
ところがこれに「神視点」が加わると、撮影カメラマンが撮影とナレーションをしているという表現技法になります。出演役者の心情をカメラマンは全て知っている=神、というわけです。
基本的に視点はひとつであることが望まれます。読者はせっかく感情移入していたのに、視点を変えらると興ざめしてしまうからです。
ですので、視点がコロコロかわる神視点はよろしくない、というのが一般的な見解なわけですが、書いている方は非常に楽しいのですね。いってみれば、「その場その場の一人称」を書けるので、心情表現を書きながら客観的な表現をとれるのです。
小説的な技法を横に置くと、イメージ的にはひとりで複数のお人形遊びをしている感じといいましょうか。自分はお人形たちのすべてを知っている神であり、自分の差配によってお人形たちは動きしゃべる。この世界の神として君臨できる楽しさと全能感を味わえるというわけです。
読む方としてはキツいことが多いのですが、書くほうは楽しい。わたしは三人称神視点は(作家としては)アリ派なのです。
※読まされる方になると、うんざりすることがありますけどね(笑)。(2024.4.9)
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