第55話 人のいうことを聞け。人の言う事を聞くな。

 物事、謙虚でなければならないことと、独立独歩でなければならないことがあって、大半の人間はそれを混同したり反対のことをしているからうまくいかないのです。それは感情と理屈との関係も同じで、理屈で受け止めなければいけないところを感情的になったり、感情を動かさなければならないところを理屈で理解しようとしているのです。うまくいかないのは反対のことをしているからというのは、大体において正しいとわたしは考えています。


 小説を書くことも同じだとわたしは考えています。作家は理屈で考えたものを理論的に構築し、読者の感情を操作していく。ある時は怒らせ、ある時は泣かせ、理屈で作り上げた世界で読者を感情の波に乗せていく。極論を言っているつもりはありません。誰でも知っている遊園地のアトラクションに設計図のないジェットコースターがあったら恐ろしくはないですか?


 作り手はどこまでも理屈で作り、読み手にはどこまでも感情を刺激していく。それがプロの小説家の仕事だとわたしは思うのです。


(ちょっと厳つい創作論 没原稿より)


※たぶん、誰にも理解されないなぁと思いまして没に。(2024.3.26)

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