第35話 夕日と恋心
夕日をずっと眺めていると、本当に僅かながら沈んでいくのを知った。土手に座り一時間くらい夕日を見ていた。遠くにあって滲んで見えるそれは、油断をすると気がつかないくらい、本当にゆっくりとそれでいながら確実に沈んでいき、周りの空を薄暗い水色から紫へと色を沈めながら下へ下へと落ちていく。普段であればいつの間にか夜になったと思っていた時間帯にもちゃんとドラマがあって、刻々と闇の世界を創りこんでいたのだと思うとなんだか切なくなってきた。自分の知らないところでも世界は確実に動いている。わたしが元気な時も、そうでないときも。失恋した今でさえ、世界は特別にはなってはくれない。こうして夕日を眺めているとそんな当たり前なことを思い知らされる。そう。世界はわたしの為になんか存在していない。それはあなたにだって同じこことだ。あなたはクラスで人気者だけれど、世界はあなたのものではない。そうでしょう? わたしにだってあなたの世界に入り込む権利はあったはず。あったはずなのに……。
(練習より)
※時間があれば目の前にある何かを題材にして短文を書く練習をしていた頃のもの。昔は練習で書いたものを作家もどきたちと「あーでもないこーでもない」と日々やってましたね。なんだか懐かしいです。(2024.3.8)
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