第36話 天才の育て方
わたしの娘は自分で言うのも「バカ親」の極みではあるが、おそらく天才である。IQが高いだけではなく物事を本質で捉えようとする考え方がベースにあり、原理原則に納得しないとスッキリしないタイプで、実生活では「面倒くさい」人間だ。物事にこだわるとトコトンなのである。
わたしもその嫌いがあるので共感するところがあるのだが、こういうタイプは他人が自分と同等に物事を考えていると思っていて、現実レベルとの落差に戸惑うことが多い。そして考えていない(られない)人に対して信じられないような顔をする。さらに辛辣なことは、それなりに考えていると思っている中途半端な人に対して「トコトン追い込みたくなる」という攻撃性も持っている。特に知識や常識の量が多いと思っている他人を見下すタイプへの敵愾心はかなり強い。娘もその傾向が多分にあった。
わたしはそれを心配して、「飽きる」ことを覚させた。何でも好きにやらせて自分で「馬鹿馬鹿しい」と飽きるように促していくのだ。知識や情報のくだらなさを説いて飽きさせ、それよりも知恵の素晴らしさを教え、ひとつひとつ納得させてから捨てさせる。そうやって毎日脱皮をさせることで、つまらぬところに留まっていないようにするのだ。
わたしは知識人が好きではない。もう少し正確に言うと「知識しか拠りどころのない人」がかわいそうに思える。わたしはずるい大人なので、そういう種族に対してのあしらい方を知っているが、娘はストレートに敵意を向けてしまう。だからわたしは、「そんなところでカッカしなさんな」と知恵を出すことに対して汗をかくよう推奨している。おかげで娘の対人関係は良好になり、今では「恋愛ごっこ」に夢中である。いつか飽きるのだろうが、それはそれでいいと思っている。
知識や教養は荷物にならないとよく言うが、わたしはそれらがとても扱いに難しいものだと思っている。今のところ子供たちがそれらに振り回されてはいないようで安心しているのであるが、常に気をつけて育てないと、と思っているのである。
(没近況ノートより)
※こんなこと近況ノートに書いてどうすんの、ってことで没。(2024.3.9)
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