第18話 運

少し、昔の話をしよう

オレは運のないやつだった

例を挙げよう

めちゃくちゃかわいい幼馴染と姉がいるのに

オレはかっこよくない


大事なところになると不運なことがおきる


そういうやつだ

今回の体育祭も例外なくそれが起きてしまった


「さぁて、転送完了、と、ってあれ?」


オレは1つ重大な勘違いをしていたみたいだ

オレはどうやらきちんとルール説明を聞かずに

この競技に挑んでいたらしい

このゲームの普段の大会ルールだと

チーム丸ごと転送されるのだが

このルールだとなぜか個人個人で転送されるのだ


「ねぇ……麟斗……まさか……離れ離れなんてやだよ?」


雫がそんな弱音を吐く

そりゃそうだ

オレと雫はずっと一緒に練習してきたのだから

バックアップとかもよくしたし

一緒に敵を倒したりした

雫なら大丈夫だと思い、一回雫の顔色を確認したがかなり絶望に染まってたので


「雫、オレは生きてるよ 

すぐに合流しよう 大丈夫、雫は強いよ」


できるだけ優しく声をかけてあげる

我ながら少し気持ち悪いとも思ったが……

こういうのサキにもやらないのでどうすればいいのかオレはさっぱりだった


「うん、ありがと麟斗、2人でがんばろうね!」


オレのミスも責めないで一緒に頑張ろうと言ってくれた

雫は優しいなとオレは思った

だから、絶対に優勝して雫のイメージを回復させないと

元の原因はオレだし


「おーい水無月男さん、すみません、やられそうです、助けてください」

「「えっ……?」」

「強襲されました……」


オレと雫はびっくりした

なんせまだ始まって3分も経ってないのだ

まだマップは狭まっていない

そこそこの広さはあるので敵とのマッチング率も低いし

まだ序盤なのでお互いに警戒するはずだ

なのにいきなり戦闘

しかも強襲って……

これはかなりの大物の予感……!

オレを楽しませてくれる……!?

こんな風に血が個のゲームで騒ぐのは何ヶ月ぶりだろうか?

にしし!これは格好の獲物発見なのだ!


隣を見ると


「はぁぁ……うぅぅ……麟斗ぉ……早く合流したいよぉ……怖いし寂しい……」


……はっ!

何オレは1人で興奮してるんだ

雫というパートナーがいるだろう?

まず雫を安心させなきゃな


「雫、大丈夫だよ 

雫なら敵が来ても追い払えるし、オレが来たら絶対に守るから」

「うん!」


なんとか雫は落ち着きを取り戻した

雫は普通に強くなったが

まだ精神面には不安が少し残る

だから合流しないとオレはちょっとまずいと思ったので


「場所を決めよう まずはそこに合流しよう」

「ちゃんと来るよね……?」

「うん、もちろんだよ」

「やくそく……だよ?あたしのこと見捨てないでね?」

「見捨てるわけないよ」

「やったぁ!」


雫の今の場所とオレの今の場所から合流場所を決める

なるべく最短がいいので


「じゃあ廃工場の1番奥の部屋にしよう 隠れれば敵にも見つかりにくいしこの場所はアイテムをたくさん取れるかもしれないし」

「うん!あたし急いで来るね!」


敵に見つからないか心配だが……

オレも合流場所へ向かうとしよう

雫が泣いちゃうかもしれない

オレは高台にいるので

下にある廃工場へは飛んで入ることができる

そして下にいる敵の動きも見れる

そしてオレはとあることに気がついた


「あれ……?オレまた囲まれてない?」


あるうぇ〜?

オレってまさかすごい不運なやつ?

ざっと4人がオレを囲んでいる

そしてオレを直接倒しに何人かこっちに向かってるとも考えると

6人くらい……ちょうど2チームか


「うわぁ……性格悪いねぇ〜」


オレはひとまず最短ルートでいける東の敵を突破して雫と合流することにした

別に倒さなくてもいい

ちょっと怯ませてそして身を隠せばそれでいいのだ

でもやっぱり後々のことを考えると無理のない範囲の敵だったら倒しておきたいな

クソ強い猛者だったら地獄だけどね


オレは東へ向かう

すると待ち構えていたかのようにこちらに襲いかかってきた

いやぁ……エイム悪いねぇ……

オレに全然当たってないじゃん

見たら自分で仕掛けたような罠があるので利用させてもらおう

あ……あれ……?

相手が弱すぎて罠を利用しなくても勝っちゃった……

とりあえずアイテムを回収して……と

入江くんは大丈夫かなぁ?

まぁ大丈夫でしょ 多分


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ちょっと私情で更新遅くなりました…


次回

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