第14話  体育祭〜練習編其の2〜

オレたちは気を取り直して練習することにした

「雫、敵に攻撃当ってないよ もっと左」

「あ、うん、ごめん」

「気にしなくていいよ 最初はみんな敵の動き読むの難しいからね」

オレはあくまでも雫のサポート優先に動く

オレが戦うとこのレベルだと無双できて面白くないからな……

「あーん、またキルされちゃったよ……」

「蘇生してあげるからちょっとまっててね〜」

すぐに蘇生してまた戦線に復帰させてあげるが

「これ新手の拷問だよぉ……」

雫が画面から目を外してそう言った

一応蘇生アイテムは有限だからそう拷問レベルとは思わないのだが……

「んー、ならやめるか?」

オレは雫と別プレイヤーをキルしてそう言った

「いや、麟斗くんの力になりたいから強くなるまでするね」

健気だなぁとオレは思い、引き続き雫のサポートに徹する

「麟斗くんってなんでクラスの人とあんまり話してないの?すっごくいい人なのに」

いきなり雫がそんなことを聞いてきた

オレがいい人……?そんなわけないだろう

オレはちょっぴり悩んで

「オレは人と関わるのが苦手だしあんまり人の内面に踏み込みたくないんだ」

と答えると

「麟斗くんいい人なのに……

さっき咄嗟にあたしを庇ってくれてありがと」

いきなり感謝を伝えられた

「いやじゃなかった?咄嗟って言っても抱きしめちゃったわけだし」

「いやなわけないじゃん、すっごく安心したよ」

まぁ急に危険な目に遭うのは慣れてるからね

とは言わないでおいた

なんか言ったら嫌な予感がしたからね


「雫、だいぶ上手になったね」

この数日、オレと一緒に練習しただけでかなり上手になった

もちろん自主練はしただろうが

まだオレに及ばないと言っても選抜試験の時よりは別人と思えるほど強くなっていた

「あたしにかかればこの程度よゆーってわけよ!」

えっへん、と雫は胸を張る

「無い胸を張ってどうしたのかしら?岩崎さん?」

そこに岡北さんが通りかかってきた

「先日の食堂の件聞いたわ 岩崎さん、あなたの悪評が女子の間で広まってるらしいの」

「あたしの悪評!?なんで!?」

雫が驚いた表情を見せる

オレも驚いた

一緒にいる人がいきなり悪評が広まったんだ

驚かないわけないだろう

「大川くんに反論したじゃない それが結構目立っちゃってね、大川くんは女子の間で結構人気があるみたいでね」

岡北さんが淡々と説明をする

つまり雫はオレを守るために自分の地位が犠牲になってしまったのか

「そん……な……」

雫は固まってしまった

オレは多分雫に嫌われたと思う

だから

「ごめんね、雫」

そう言って立ち去ろうとすると

「麟斗くんは悪くないよ……あたしが……あたしがっ……!」

雫は泣き出してしまった

そう、オレのせいで

「彼女は……男子人気はそこそこだから……挽回はできるかもだけど難しいかもね……」

「なんで男子人気少ないんだ?」

オレはそう聞く

雫はボーイッシュだが顔は整っていて髪も綺麗だ

抱き締めたときいい匂いもしたし

岡北さんはオレの耳元で

「彼女は空気抵抗少なそうな見た目をしてるじゃないかしら?」

その1言でオレはあらかた察してしまった


「雫、泣き止んだか?」

「麟斗くん……」

オレは雫が泣き止むまで側にいてやった

「嫌ならもうオレと練習しなくてもいいよ」

優しく声を掛けてやった

しかし雫は

「いや……麟斗くんと……麟斗とやる……麟斗じゃなきゃや…」

上目遣い×手を握る×涙目=即死

ということでオレと雫の練習はまだ続くのであった

もちろんサキに許可取ってやってるからね?

ちゃんと好きな人に許可取らなきゃ……嫌われる可能性だってあるからね……


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次回

ナイスコンビ

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