第2話

そこから20年が経って・・・

私の知らないアナタの時間が長すぎて、連絡が来た時はほんとにアナタなの?って思うくらい

信じられない出来事だった。「今度帰るんだけど会える?」って。

20年という月日が昔の若い可愛い私ではない事の恥ずかしさもあったけど

まだ会いたいと思う自分の気持ちに素直に、20年ぶりに連絡を取り合って毎日のようにLINEで話したんだ。実際会ってみて、変わらぬこの心地よさとドキドキする感じと、

なんで今なの?もっと昔に誘ってよ。という気持ちで、私の心はグチャグチャになって行ったんだ。終電まで話が尽きることなく話したね。20年の月日を埋めるように。話したりなかったよね。

アナタは私の知らない間に 知らない誰かと結婚して幸せな家庭を持っていた。


不思議と私はそこになんとも思わなかった。20年という時間の長さがそうさせたんだと思う。

そして私はアナタに初めて昔からアナタが好きで心の主になっていることを話したんだ。

自然に、普通に、とくに照れることもなく告白してたんだ。

昔の事だけど 私はまだ続いているアナタとの思い出。

アナタとその20年の時間を埋めるように、記憶を擦り合わせたりして、昔の事を思い出していた。でも相変わらずアナタの想いは分からない。聞いてみても斜め30度くらいの微妙な返答ではぐらかす。私は一度も気持ちを聞けず終電で帰ってきた。

なんで今なのよ・・・遅すぎるよ。。というどうしよもない現実と夢のような時間とで

私は押しつぶされそうになっていた。


まだ話したりない昔の記憶のすり合わせは続いた。

毎日のようにLINEで話すようになったんだ。

次会えるのはまた20年後かなーなんて話しながら。

でも、どんどん私は昔に引き戻されてる自分に気が付いたんだ。

アナタと話す度に少しずつあの若い頃の私に戻ってしまった。

まさか私がこの歳でヤキモチを焼くとは思わなかった。自分で自分に驚いた。

そんな私をあなたはまた誘ってくれた。

今度は7か月後のミュージカル。アナタは仕事が終わって遠い渋谷まで来てくれた。

「西側のエレベーターの脇に来て。」その一言でも私の心は踊っていた。

アナタとデートのような待ち合わせをしたことなかったから。。。

結婚前は何度か突然アナタは家に現れて、いっしょにご飯食べに行ったりもした。

でもアナタはいつも突然なんだ。

私は胸を躍らせアナタとデートを楽しんだ。

渋谷の夜景を見に展望台にも行こうとしてくれた。でもチケット完売で結局上がれなかったのだ。今度晴れた日に上ろうねって。 今度・・・・ 今度もあるんだ・・・って。

昔の私なら 舞い上がって喜んで飛びついていただろう。。

私はその時、舞い上がる気持ちを抑えながら、心に決めたことがあった。

少しでも自分の気持ちが揺れ動くことがあったら、もう今日で終わりにしようと。

その日はそう遠くはなく訪れた。


会えば会うたび、私はせつなくなる。

どうしても、なんで今なの?昔にもっとタイミング沢山あったよ。と心の中はグチャグチャになる。会いたくてたまらなくなる。頭の中はアナタの事でいっぱいになる。

あの高校生のころの、バスで感じたあのフワっとした感覚が蘇っていたのだ。

なんとも懐かしい 心地の良いあの感覚。

でも今と昔じゃ気持ちは同じでも 状況は変わってしまっているのだ。

うれしかっただけの若い頃とは違って

せつなくて、うれしくて、幸せで、でも寂しくて。

アナタと会って話す度に私の気持ちはグチャグチャになる。


これじゃいけないと。自分にブレーキをかけたんだ。


会うのはやめよう。って心に決めたんだ。


LINEもアナタからの返事を待ってしまう。LINEが苦手なアナタはなかなか返事をしてくれない。その度に私は会いたい気持ちが募ってしまうんだ、、こんなもどろっこしいLINEじゃなくて会って話したいと。また欲張りになった私がそう思わせるんだ。


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