週間ランキングからみたカクヨムロン～現代ファンタジー篇～

第二章 看板が気になった

第四話 ダンジョン化した「現代ファンタジー」

　『カクヨムコン９』の「現代ファンタジー」の週間ランキングを眺めていて気付いたのは、それらの『作品名』や「キャッチコピー」に、同じワードが使われている、という事でした。

　それが「ダンジョン」です。

　そこで、「ダンジョン」をタイトルやキャッチコピーに使っている作品の割合を、順位台ごとに調べてみる事にしました。

　調べ方は、パソコンの検索機能で、各順位台ごとの「ダンジョン」のヒット数を確認した上で、マニュアルで、作品数、さらに、作品名のみにワードが入っている作品数、キャッチコピー（以下、キャッチと略記）、そして、作品名とキャッチの両方にワードが入っている場合の三つに分け、作品数の内訳も確認してみました。

　ちなみに、（）内が、のべのワード・ヒット数です

　　一八〇〇位台（のべ〇〇）

　　一七〇〇位台（のべ〇四）　一作品（二〇二一年最終更新）

　　　内訳　作品名（〇）・キャッチ（〇）・作品名とキャッチ（一）

　　一六〇〇位台（のべ〇三）　二作品（二〇二二年最終更新）

　　　内訳　作品名（一）・キャッチ（〇）・作品名とキャッチ（一）

　　一五〇〇位台（のべ〇八）　六作品

　　　内訳　作品名（四）・キャッチ（一）・作品名とキャッチ（一）

　　一四〇〇位台（のべ十四）　八作品

　　　内訳　作品名（四）・キャッチ（〇）・作品名とキャッチ（四）

　　一三〇〇位台（のべ二二）　十六作品

　　　内訳　作品名（十一）・キャッチ（二）・作品名とキャッチ（三）

　　一二〇〇位台（のべ十五）　九作品

　　　内訳　作品名（五）・キャッチ（〇）・作品名とキャッチ（四）

　　一一〇〇位台（のべ十五）　十三作品

　　　内訳　作品名（八）・キャッチ（四）・作品名とキャッチ（一）　

　　一〇〇〇位台（のべ〇七）　五作品

　　　内訳　作品名（五）・キャッチ（〇）・作品名とキャッチ（一）

　　〇九〇〇位台（のべ十三）　九作品

　　　内訳　作品名（五）・キャッチ（一）・作品名とキャッチ（三）　

　　〇八〇〇位台（のべ十二）　八作品

　　　内訳　作品名（三）・キャッチ（一）・作品名とキャッチ（四）

　　〇七〇〇位台（のべ〇七）　六作品

　　　内訳　作品名（三）・キャッチ（三）・作品名とキャッチ（〇）

　　〇六〇〇位台（のべ十九）　十作品

　　　内訳　作品名（四）・キャッチ（二）・作品名とキャッチ（四）

　　〇五〇〇位台（のべ〇五）　五作品

　　　内訳　作品名（四）・キャッチ（一）・作品名とキャッチ（〇）

　　〇四〇〇位台（のべ十八）　十二作品

　　　内訳　作品名（三）・キャッチ（四）・作品名とキャッチ（五）

　　〇三〇〇位台（のべ二〇）　十二作品

　　　内訳　作品名（六）・キャッチ（二）・作品名とキャッチ（四）

　　〇二〇〇位台（のべ四一）　三〇作品

　　　内訳　作品名（十七）・キャッチ（五）・作品名とキャッチ（八）

　　〇一〇〇位台（のべ六三）　三九作品

　　　内訳　作品名（十九）・キャッチ（四）・作品名とキャッチ（十六）

　　〇〇〇〇位台（のべ七一）　四八作品

　　　内訳　作品名（二七）・キャッチ（二）・作品名とキャッチ（十九）　

　少なくとも、このデータから分かるのは、二〇二〇年以前の「現代ファンタジー」では、「ダンジョン」が入っているものは皆無だったのですが、二〇二一年以降に更新された三〇〇位台から一七〇〇位台では一割前後か一割以下になっています。

　しかし、読者からの反応が有る上位三〇〇位と、それ以降の順位との間には、あきらかなる〈断層〉が在って、一〇〇位台と二〇〇台が約三割、トップ一〇〇に至っては、全体のおよそ半分に「ダンジョン」というワードが見止められます。

　直〈感〉的に、今の「現代ファンタジー」って「ダンジョン」が多くないか、と思って統計を始めてみたのですが、このように数値化してみたところ、上位ほど、このワードの占有率が上がってゆく事が確認できました。

　さらに、「異世界ファンタジー」の上位ランキング表に「ダンジョン」がほとんど確認できなかった事実を鑑みると、今の『カクヨム』における読み手が、「現代ファンタジー」にこそ「ダンジョン」を求め、こう言ってよければ、「現代ファンタジー」が〈ダンジョン化〉しているのは明らかなようです。