第23話 キョウト・デス・スクワッド
元亀元(1570)年7月1日。
織田信長が正式に山城守を受け入れ、
と、同時に亜蓮も近衛大将への就任が決定した。
『【山城守、近衛大将に
と。
「……すごい」
『———近衛大将に就任した神宮寺氏は、金ケ崎合戦で活躍し、更に宇治でも暴漢を返り討ちにした過去を持つ。
更には『英雄色を好む』という
短期間で2人の美女を
その上、連れ子も
「すごい」
再度呟くと、その瓦版を持って、亜蓮の下に駆けていく。
「わかとの!」
「どった?」
亜蓮は、大宮から肩もみされ、右近が
肩もみ以外は自分で出来るのだが、仕事を作らないと侍女が失職してしまう為、仕方の無いことなのだ。
「かわらばんに、わかとののきじができます」
「おー、そうか。じゃあ、保存してて。後で家族にも見せるから」
「はい!」
「良い仕事したな? ありがとう」
「ありがとうございます♪」
頭を撫でられ、上機嫌に浮舟は微笑む。
右近が肩もみを止めた。
「
「ああ、ありがとう。
事あるごとに感謝を述べる亜蓮。
『「ありがとう」。
言う方は何気なくても言われた方は嬉しい。
「ありがとう」をもっと素直に言い合おう』
が由来だ。
言われた浮舟や右近も心地いい。
過ごし
「若殿」
幸姫が大宮と共に来た。
「朝食が出来ました。今日は大宮が作りました」
「分かった。
大宮が答える。
「・ご飯
・
・焼き魚
・豆腐
です」
「良いね。じゃあ、皆も食べよ」
「「「「はい」」」」
4人は、空腹だったのか大きく
今日は、お市が居ない。
二条古城に茶々とお初を連れて、山城守就任のお祝いの為に信長に会いに行っているからだ。
なので、屋敷に居る成人は、亜蓮と井伊直虎のみである。
朝の
「今日も美味しそうですね」
「大宮が作ったんだって」
「そうですか。大宮さん、ありがとうね」
「はい♪」
虎松にも感謝され、大宮は笑顔になる。
本来は、一斉に「頂きます」した方が良いのだろうが、神宮寺家は
各々の
「おかわり!」
「はいはい」
浮舟はご飯のお代わりを望み、
亜蓮は感心する。
「浮舟はよく食べるな」
「はい。たべざかりなので」
9歳で食べ盛りなのは、思春期の
ただ、食わないより食べれた方が良いのは事実だ。
「右近、何合ある?」
「残り5合くらいですね」
「浮舟、まだ食べる?」
「これでまんぷくなので、だいじょーぶです」
「分かった。右近、もう炊かなくて良いよ」
「了解です」
井伊直虎が居たら、もう少し炊いていた可能性もあるが、
朝早くお握りと味噌汁を食べて登校していった。
時間帯が合えば一緒に朝食を囲むことも出来るのだが、虎松の場合は登校後、寺子屋で剣道の練習をしているそうなので、
頑張っている我が子の邪魔をしないのが、亜蓮の教育観である。
「そういえば、夕顔と
「は。今日は体調不良で休みです」
大宮が答えた。
「そうか。
「軽い風邪と思われます故、大丈夫かと」
「了解。皆も体調不良なら、どんどん休んでね」
「「「はい!」」」
ご飯を食べつつ、3人は気持ちの良い返事をするのであった。
寺子屋では、
・柔道
・剣道
・弓道
・相撲
・空手道
・合気道
・
の主に七つの武道を教え、座学では
黒板には、
『懸情流水 受恩刻石』
と書かれている。
「虎松」
高僧が指名した。
「これを読んでみて」
「情を懸けしは、水に流し、恩を受けしは、石に刻むべし」
「
わぁっと、教室は歓声が
難解な仏教の
余談だが、この言葉の正式な出典は不明とされる(*1)。
それでも現代日本で広まっているのは、
「流石だな。よく勉強している」
「ありがとうございます」
褒められ、虎松は笑顔を振りまく。
9歳でこの言葉を知っているのは、令和でも
「誰から教わった?」
「
「ああ、今話題の近衛大将か」
「はい!」
教室内は更に
「天下の近衛大将か」
「すっごい! すごい!」
「近衛大将は、経典にも精通しているのか」
京の平和を維持している亜蓮の存在は、京に住む者達にとって
亜蓮が洛中の警備を始めた途端、一気に、
・強盗
・暴行
・殺人
等の凶悪犯罪が激減したのだ。
その経歴は以下の通り。
・2004年8月2日時点で関与した殺人事件は、52件(*3)
・は2005年の最初の3ヶ月に、72件の犯行(*4)
ダバオ市は元々治安が悪かった為、それを問題視した市民が自警団を組織し、活動に至ったのだ。
当然、多くの人権団体は反発したが、
司法を通さない殺人は、超法規的措置と言えるが、それでも治安が良くなったのは評価せざるを得ないだろう。
亜蓮も治安が悪い場所には、騎馬隊を送り込み、犯罪者を見付け次第、殺害する
犯罪者は殺害され、犯罪者予備軍は殺害を恐れ、洛中を離れていく。
まさに一石二鳥だ。
その政策の担当者である亜蓮は、まさに京の人々にとって
父親を褒められ、虎松の鼻も高い。
「えへへへ」
義父の
[参考文献・出典]
*1:Hiroshi SAKAI note 2019年11月24日
*2:ウィキペディア
*3:ミンダナオ・タイムズ紙
*4:インターナショナル・ヘラルド・トリビューン
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