第8話 強い魔物2 (少女視点)

 フードを被った者に声をかけられた私達はコイツの異質の強さに恐怖する。


 私達は思う。コイツがアースドラゴンを殺し、そしてゾンビフェンリルの情報を話した者だと。


 私は恐怖で足が動かなかった。


「き、貴様! な、何者だ!」


 アリスさんが声を震わせながら剣を突き立てながら問いただす。


「び、びびったー!あの化け物少年の仲間かと思った! よかったー! 。」


 私達の反応を見てフードの者は安心した様な空気を出した。


 何を言ったのか私には聞こえなかった。


「ふぅ、なら貴女達に用は無いです。雑魚人間はとっとと帰って下さい」


 そんな事を言って私達に背を向けて歩き出した。


 そいつが背を向けた瞬間。 アリスさんはそいつに剣を突き刺した。 ・・・・・・はずだった。

 アリスさんの剣は砕けて、フードの者の背中には傷一つ、付いていない様だ。


「貴女、バカなんですか? せっかく、この私

 魔界四天王 ・獣魔師セルメットが見逃してあげてるのに、どうして攻撃して来たんですか? 貴女は弱いんだから引っ込んで下さい」


 魔界四天王・獣魔師セルメット!?

 私は驚愕してしまった。

 人間と何百年も争っている魔族の住まう地・魔界


 その幹部が何故ここに。


「わ、私が弱い!? 私は、誇り高きエルセリト王国の騎士団長だ。 私は王国最強の騎士だ! 貴様を今ここで討伐してみせる!」


 アリスさんはそういうと、折れている剣をセルメットに振りかざした。


 ダメだ。今は、戦うべきじゃない!


「アリスさん、まって!」


 私の声はアリスさんに届かない。


「はぁ、これだから人間は。 “網目の監獄セルメット”」


 奴は自らの名を唱えるとアリスさんの足元に魔法陣が展開される。その瞬間、金属で出来た様な物が網目状に立体的に形成されていった。


 アリスさんを包み込み、アリスさんは一瞬にして無力化されてしまった。


「私の魔法は相手を閉じ込める魔法。

 拷問に使える様に隙間を無数にあげていますが通常の檻とは違い立体的に形成されている為。 頑丈で物理的に破壊するのはほぼ不可能です。」


「貴様! こんな事をして、ただで済むと思っているのか! 今回、アースドラゴンを殺し!数日前のゾンビフェンリルを殺したのはお前だな! その力で、我ら人類を滅ぼすつもりか!」


 そうだ、コイツはそんな力を使えるかもしれない。


 マズイ、早くアリスさんを助けなくちゃ。


「・・・・・・はぁ!! ぞ、ゾンビフェンリルが死んだ! え、まじで、どうゆうこと? あの化け物を殺した?」


「な、何をとぼけている! ふざけるな!」


「いや、ふざけてませんよ! え、アイツ殺されたんですか? ・・・・・・マズイですよ!そんなの想定外ですよ。 偶々見つけたゾンビフェンリルの特殊個体がいるから、利用して人類の戦力削ろうと思ったのに」


 どう言う事? あれはコイツが用意した物じゃ無くて本当に偶然発生した物? それをコイツが勝手に利用しただけ?


雑魚のに構ってるこんな事をしてる場合じゃない!直ぐに帰還して報告しなくては!」


 慌てた様子で転移魔法を唱え、奴は姿を消した。


「た、助かったの?」


 私が安心すると、アリスさんを拘束してた魔法が解かれた。



「あ、アイツが数日前の黒幕じゃ無い?そんなはずが! では何故アイツがこんな所に」


 アリスさんが動揺した様な言葉をこぼす。



 だったらアイツよりも恐ろしい何かが、この場所にいるって事?


 私は恐ろしくなり、その場から動けなくなってしまった。









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