第6話 弱い魔物

 俺はクロスケを連れて、森を歩いて行く。


 森をしばらく歩いていると、森の奥からたくさんと魔物と動物達がこちらに向かって走って来た。

しかしそのまま俺を通り過ぎて走り去っていった。


「なんだ?」


 俺が疑問に思っていると、大きな騒音が鳴り響いた。 そちらに顔を向けるとおよそ5mほどの大きさの二足歩行のトカゲの様なものが目の前に現れた。


「・・・・・・コイツは、トカゲか? いや、この見た目的には恐竜か?」


 トカゲの様な者は俺をチラッと見るとすぐさま噛みついて来た。


 俺は後ろに下がり噛まれるのを避ける。


「おっと、魔物ってのは相手が勝てる相手かどうかを判断しないのか?」


 俺は足元にいる、クロスケに聞いてみる。

 するとクロスケは『そんな事を気にしてる余裕無い』と言いたげに首を振っていた。


 トカゲはその後も連続して牙を突き立ててきた。


「馬鹿の一つ覚えみたいに何してんだよ」


 俺はクロスケで調整した力でそいつの顔に回し蹴りを入れた。するとトカゲは大きくのけ反ったが踏ん張り、再び噛みついてきた。


「本当に学習しないな。少し力弱すぎたのか?」

 俺は呆れながら、ほんの少しだけ力を入れて蹴りを入れる。


 するとトカゲは地面に血を吐きながら倒れたが直ぐに立ち上がり、同じ事をひたすら繰り返すだけ。


「何なのお前? 記憶の神リコレの力、受けてないの? 面白くないんだけど」


 そんな事を言っているとトカゲは口を開き、息を吸った。すると周囲から魔素権能の力を吸収するとそれはメラメラと燃える炎へと姿を変えた。


「炎か、森で火を使うとか何を考えてるんだよ。 ・・・・・・もう、いいわ。


 雑魚バカに構う余裕は無い。


 クロスケは俺を相手に逃げようとしたり、爪で攻撃を工夫しながら戦うなど理にかなう行動をしていた。


 だがコイツは全く同じ動作で噛み付いて来るだけ。 挙げ句の果てには自分も居るのに森を燃やそうとした。森が燃えれば、自分が死ぬかもしれないのに。


 そしてコイツには炎への耐性は無い。生物として無能だ。


「クロスケ、行くぞ」


 俺はため息を付きながら足を進めた。


 俺の後ろには心臓を失って、動かなくなったトカゲがいる。


「なんで、あんな弱い魔物から全員逃げてたんだ?」


 あそこまで馬鹿な奴があの大きさまでどうやって生き延びたんだ?


 まぁいいや。これからも、ああいう奴とは遊んでも楽しく無いからサクッと終わらせて次に行こう。


 側を歩くクロスケを見るとクロスケは呆れた様な顔を見せていた。




















 なんかあの木の端に何かいるな。・・・・・・いいや、弱そうだし。


 そこには木の陰に隠れたフードを被った者がこちらを覗いていた。



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