第3話 とりあいず軽めに運動を


 扉を潜ると俺は強い風に吹かれながら空から落ちている。 美しい青い空に下には綺麗な木々生える。神界をトレースした世界だから下界も景色は綺麗なのだなと思った。


 俺は落下しながらそんなことを思っているとそろそろ地面に着きそうだと思い体勢を整え、地面に着く直前くらいで浮遊し地に足を着けた。


「さてと、ここでの力はどんなもんなんだろう」


 神が下界に行くなんて想定してない為、力が制限されていてもおかしくないと思う。

 俺は近くにあった木に対して軽めに蹴りを入れてみると木は『ポキッ』と簡単に折れた。


「別に下界に降りても力はそのままみたいだな。」


 つまり俺がこの世界で遊ぶには人間の力程度までの力を抑えないと行けないな。


   *


 しばらく森を探索していたら力の調整にちょうど良さそうな魔物が居た。背丈は俺の2倍位の大きさの黒ぽい色の狼か、あの子がこのサイズと互角くらいだったから

 それを基準にしてやってみるか。


 魔物が爪を向けてきたのでそれを弾く程度の力で俺はそれを払ったが腕ごと飛ばしてしまった。


「これでもまだ強いのか」


 調整むずいな、けどコイツらを普通、相手にしたら人間は手も足も出ずに死んでしまうだろう。にも関わらず先程の彼女は互角に渡し合うどころか相手がアイツじゃ無ければ勝っていた。人間が化け物と渡り合える世界はやはり興味深い。


「悪いな、互角に出来なくて。次はもっと手を抜く」


 俺がそう言うとコイツは怒ったかのように暴れ出した。


「もっと手を抜け、権能は一切使わず1%程の力で、腕を飛ばさないようイメージを」


 次はコイツか大きくのけ反る大きな隙が生まれるくらいまで力を抑えられた。


「お、なるほど! 出してもこの辺までか。 難しいな」


 そう思いながら同じ力でガラ空きの胴体に蹴りを入れる。

 そうするとコイツの腹は貫通し息絶えた。

 ・・・・・・と思ったがコイツは再び起き上がった。


「お前、さっきの子が戦ったやつと同じか! 都合がいい。 お前で力の調整何度でも試せるな!」


 *

 それから何度もコイツで力の調整をして行ったのだが1000回辺りからコイツが俺から逃げようとするのでその度に足を消して、逃げ道を消さないと行けなくて大変だった。


 だがコイツのお陰で意識していればコイツを殺さない程度の力に制御出来た。


「じゃあ、後500回で終わりにするか。 次やるぞ! 4501回目」


 *


「そろそろ終わりにするか。準備運動に手伝ってくれてありがとな」


 俺はぐったりしてしまった狼に対してそう言った後行く先も考えずに森を進んでいた。




 *


 俺はしばらく1人で歩いていたのだか、さっきから後ろに練習相手にしてた狼がいる。


 なんで着いてきたんだ?


 あれか、もしかして下界だと5000回の模擬戦なんかしないのか? せめて500回に抑えとくべきだったか?


 うーむ、だか恨まれてる様な感じはしないんだよな。


「おい、お前。 着いてくるか?」


 俺がそう言うと狼は尻尾をブンブンと振って俺の元に走って来た。


 このサイズの狼って人間と会った時に問題起きたりするか? とりあいず権能を使って能力などはそのままで姿だけ小さくしてみた。


「今までやった事なかったけど、俺の権能ってここも範囲に入るんだな」


 とりあいず下界にいる中型から大型犬の間位のサイズにしてみた。


「よし、これなら問題ないな」


 俺がサイズを変えたことに驚いたのか、狼は驚愕したのと同時に喜んでいた。


「こいつ、俺の使徒にしようかな?」


 俺は40,000年振りに出来たペットに愛着が湧いた。

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