第2話 森の任務にて(少女視点)
私はギルドで依頼を受け森に出現したとされる、デーモンウルフの討伐にやって来た。
最近ようやく単独でAランクになれた私は、1人でAランクの魔物であるデーモンウルフを探しに森にやってきた。
「情報だとこの辺りだけど」
私が辺りを見渡していると『ガサガサ』と木が擦れる音が聞こえた。私がそちらに目をやるとそこには私の背丈の3倍ほどの大きさをした狼が私を見下ろしていた。
「これがデーモンウルフ」
私は思わず息を呑む。それなりに強くなった私だが、1人でこれ程の大きな相手と戦う事は初めてだった。
「ふぅ、私は強い。1人でも戦える」
私は恐怖と緊張を抑え剣を構える。
私は足を踏み込み、切り掛かる。狼は私の攻撃を爪で弾きそのままは私を切り裂こうと仕掛けてきた。コイツの爪は鉄を貫く程鋭く猛毒がある為当たれば即死の攻撃だ。私はなんとか攻撃を防ぎ、再び攻撃を試みた。
*
私とデーモンウルフの攻防は何度か続き、現在も続いている。
私達が戦闘を繰り広げている中、私達は手を止めてしまった。突如として今まで感じたことの無い強大な魔力を感じたからだ。その魔力に当てられ私もコイツも身が竦んでしまう。
「何、今の魔力?」
私は声を震わせながら今の魔力の正体に疑問を持つ。・・・だが直ぐに切り替え今のうちにコイツを仕留めようと攻撃を仕掛ける。
再び私達の攻防が始まったが先程と違い、今の魔力に怯えてデーモンウルフの動きが鈍った分、私の方が優勢であった。
しかしコイツも徐々に恐怖に構う暇がなくなり、動きが戻りつつある。その瞬間私の攻撃が完全に弾かれ私は胴体がガラ空きになりデーモンウルフはそこに攻撃を向ける。だがデーモンウルフは足を滑らせ逆に私に隙を見せた。
「“
私はその隙を逃すものか!と。すかさず魔法を放つ。私の魔法はデーモンウルフの腹を貫きそのまま倒れた。
「やった、やった!私1人でデーモンウルフを倒した!」
私は喜び、はしゃいでしまった。
はっ!となり気分を落ち着かせ、急いで討伐証明の為の準備をしようと後ろを向いて少し足を進めた。
「!?」
地面に大きな影が写り私は咄嗟に振り返るがその時には奴の爪は私の腹部に当たる直前だった。
あ、私死んだ。 倒したと思い込んで油断して背を向けて殺される。 なんてバカな冒険者なのだろう。これがAランク? こんな初歩的なミス、Eランクがするミスだ。私は1人でここに来た。つまり死んだら生き返してもらう為に教会に行けない。ソロでSランクになってみんなに認めてもらいたいなんて夢を見た結果、Aランクの依頼すら達成出来ずに死ぬなんて。
私は自分の情けなさを感じ死ぬ瞬間を待つ。
「えっ」
何が起こったのだろう。先程感じた強大な恐ろしい魔力を再び感じた瞬間。目の前に居たはずのデーモンウルフが跡形も無く消滅していた。
「何が起きたの?」
私は目の前で起きた事が分からず混乱する。
「あ、ティアさーん!!」
私は自分の名前を呼ばれ振り返る。
そこにはギルドで受付嬢をしていた人と王国の印を胸にきざまれた鎧を着る人達が大勢いた。
「て、ティアさん!ぶ、無事ですか!!」
受付嬢の私を心配するように私に声をかけた。
「ど、どうしたんですか!」
「私が説明致します。」
そう口にしたのはエルセリト王国騎士団団長のアリスさんだった。
「貴女が受け持った『デーモンウルフの討伐』なんですが情報についさっき更新が入りまして。
『ゾンビフェンリル の討伐』に変わりました。
その為最低でもAランク6人かSランクを含むパーティ討伐に条件が変わりまして。Aランクの貴女が単独で任務に使ったとギルドの彼女から話を聞いて、救出に向かったのです。」
私はアリスさんの言った事に衝撃を受けた。ゾンビフェンリルはデーモンウルフが進化をした姿でダメージを受けても即座に再生、攻撃を受ければ受けるほど攻撃力が高まっている。そう言う魔物だ
「じゃあ、私の魔法で腹をつら抜いたのに起き上がってきたのは」
「戦闘したのですか!? 奴は今何処に!」
アリスさんは動揺した様子で私に聞いてきた。
「実は・・・・・・」
私は事の経緯を説明した。
「あ、有り得ません!ゾンビフェンリルが跡形もなく消滅したなんて!アイツの討伐法は現在も不明で処刑で使用する魔法装置を使用してようやく無力化出来て、奴を完全に消し去る事は不可能なはずなのです!」
私もゾンビフェンリルの対処法は聞いた事がある。
強さはデーモンウルフ同じくらいだか、どんな攻撃を受けても肉体を再生してしまう為、殺す事が出来ないのだ。しかし再生する時に体の動きが止まる為永続時にダメージを与え続ければ動きを封じ無力化させる事が出来る。
「ですが、この跡を見たら」
そう言い私達はゾンビフェンリルが居た場所に目を向ける。
森で戦闘をしていたはずなのに周囲の木々は消えて地面は綺麗に更地になっていた。空間ごと消されたみたいに
一体何が・・・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます