徳山さん北朝鮮へ

@nakayoshifufu

短編「ねえねえ、本当に徳山さんってアメリカに行くの?」

 私は喧嘩中の徳山さんが引っ越ししてアメリカに行くと聞いて、なんだか悔しくなってクラスメートにこのように聞いてみた。

 帰ってきた言葉は意外なことに「あんたって性格悪いね。」というクラスメイトの私への軽蔑に満ちた目だった。


えっえっえっ?

他のクラスメイトが教えてくれた。

「徳山さんは北朝鮮に帰るんだって」


へー、徳山さん朝鮮人だったんだ。日本人だと思っていたのに。

…………………………

 実は後から知ったのだが、1950年から始まった北朝鮮帰国事業に賛同して北朝鮮に帰って行ったのだ。

…………………………

 2002年北朝鮮拉致被害者が日本に帰ってきた時、初めて北朝鮮とはものすごく貧しい国で、指導者に反対する人は拷問されたり、死刑になったりすることを知った。

 そして、さらに日本から帰国した帰国者はひどく貧しく、 同国人からも罵倒され、地獄のような毎日を過ごしているということを知った。


「徳山さん今頃どうしてんだろうか?生きているだろうか?日本にいれば良かったと思わなかっただろうか」

私は徳山さんと喧嘩ばかりしていたので、すごく申し訳けなく思った。


今でも時々思う、仲良くすれば良かったなあ。

日本に、ずっと住んでいたいと思ってもらったらよかった…

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