第26話 ひそかなやり取り 4
「それで、今日は学校の授業中に寝てしまっててね。また、先生に怒られたんだ」
ジョセフは新しくできた、一年年上のソフィアにラインを送っていた。
「ジョセフ君、忙しいからね。だって、土日は掃除の仕事に行ってるんでしょ」
「まあ、今は週一で出かけてるよ。日曜日は家の掃除があるし……」
「そうだよね。家の掃除しないとお母さんに怒られるね」
「そうだけど、あちこちで掃除してキレイにしてるのに、家ではしないなんておかしな話だからね。そこプライド持ってやってるよ」
あれから二週間ほどたった。ジョセフは大分学校に慣れてきた。ジョセフが一番怖がっていた虐められるということは、意外にも、その事はなかった。寧ろ、交友的になった男子生徒はたくさんいた。
やっぱり、セシルがいるときと、いない時の差が激しい。クラスの女子とは打ち解けてはいないけど、これも時間が経てば、以前のジョセフの印象に戻るのかもしれない。
ただ、同じ女性のソフィアにはそのことは触れずにいた。何故、自分が不登校になったのかの理由は、男子生徒からの嫌がらせで、行くのを止めて引きこもっていたということになっている。
なので、セシルがどう思っていたのか、その心境でのアドバイスを投げかけられない。
「しかし、もうちょっとしたら二学期も終わるね。もうそろそろ寒くなってきたなあ」
ソフィアからのラインが帰ってきて、ジョセフはそういえば、もう冬なんだと思った。
「そうだね。ここ最近、忙しかったから、今の季節なんて忘れてたよ」
「でも、ジョセフ君は外に出かけるから、気温の変化が分かるでしょ」
「まあ、そうなんだけどさ。それ以上に色々、考えなくちゃいけないことばっかりだったからさ」
「そうか……。あたし、一応近くの高校に受験する予定なんだ」
「そうなんだ。やっぱり近い高校の方が良いよね。電車通勤なんて面倒くさそうじゃない」
「そうだね。勉強、頑張るよ」
「うん、お互いにね」
「ジョセフ君も、勉強頑張って進学しなくちゃダメだよ」
「分かってるよ。おやすみ」
「おやすみ」
やり取りをして、ジョセフはスマートフォンを机の上に置いた。何だか最近は何かあればソフィアに連絡したくなる。
それくらい、彼女とのやり取りは楽しかった。
最初の頃は、年齢の近い女性とやり取りをすることに抵抗があった。やっぱり、セシルのこともあり、少し、女性恐怖症もあった。しかし、意外とソフィアとだったら色々話せることが多かった。
もしかしたら、対面で話すよりもラインなどの文面で伝えることの方が、自分としては上手くいくのかもしれない。
パジャマ姿のジョセフはベッドに身体を投げ出した。
最近はもしかしたら、ソフィアと相性が合うんじゃないかと思っている。それまではルナのような顔が可愛く、グラマーな体型に自分は恋い焦がれていた。確かにルナは性格も良い……と思うが、ソフィアみたいに、まだ顔も見たこともない女性なのに、異性として意識してしまう自分がおかしくなる。
ジョセフはいつしか、ソフィアに恋をしていた。
学校でも、思わず休み時間にソフィアにラインを送りたくなる。送っても別に問題ないとは思うのだが、十分ほどしかない休憩時間に送るのも迷惑かなと困惑するのだ。
女子って男子から休み時間に執拗以上に迫ってきたら、嫌がるのかな。
ジョセフはそんなこと考えると、もう頭の中はソフィアのことばかりだ。
授業中でも、ソフィアのことを考えてしまう。彼女はどんな顔なのだろう。美人なのだろうか。それとも、メガネを掛けて、頭の良い清楚な女性なのだろうか。いや、もしかしたら男勝りの、ケンカの強いガタイのいい女性なのかもしれない。
そう想像すると、思わず笑ってしまう。
今度は現実に戻り、笑うことを隠すのだが。
ただ、会ってみたい気持ちが今のところ無かった。何故なら、ジョセフ自身も忙しいという事もあるのだが、やっぱり、女性と会ってみてどう話をしていいのか分からない。
このことをジェームズには伝えていない。彼のような上辺だけの付き合いの人間にはとても話す気にはなれない。
最近知り合ったノアも、多分口が軽いだろうし、何か楽しいことがあると、喋らずにはいられない。あいつも打ち明けるには厳禁だ。
どうすればいいのか、ジョセフは頭を悩ませていた。
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