第28話 あれから五年!今日から七瀬翔は一七歳

 あれから五年の月日が流れ、二〇二九年七月四日。

 七瀬翔は、一七歳になった。

 リビングに翔と春、桜、燈子、真宙が集まって誕生日のお祝いをしていた。

「翔、誕生日おめでとう! これは僕からのプレゼント」

 真宙は、ラッピングされた大きい箱を渡した。

「ありがとう。中身はなんだろう」

 翔は、その場で箱の中身を出した。

「望遠鏡だ! なかなか買う機会がなかったから嬉しい。真宙、ありがとう」

 翔は、望遠鏡を見つめた。好きなものだが、本当なら父親から誕生日プレゼントととして受け取るものだったと思っていたため、自ら購入することができないでいた。もしも父親から誕生日プレゼントを渡されたらこんなにも嬉しい気持ちだったのか、と思いながら真宙にお礼を言った。


「おめでとう。七瀬くんが喜びそうなのにしたわ」

 燈子は、小さい袋に入っているものを渡した。

「神崎、ありがとう。中身は…………ビー玉?」

「画面だして」

「画面だしたぞ」

 翔は、利き手の親指、人差し指、中指を水平に出して、そのまま上に挙げて画面を表示すると、燈子は画面にカードをかざした。

「はい、これで七瀬くんの言うビー玉のアイコンが出てきたでしょ。それ押してみて」

 燈子は嬉しそうに話した。

「これか」

 翔は、燈子に言われた通りにビー玉のアイコンを押した。

 すると、ビー玉のようなものが宙に浮いた。

「なにこれ、無音で動き出したんだけど」

「これを見ても分からないなんて。これは超小型ドローンよ」

「超小型ドローン!?」

「そうよ。画面操作で追跡、盗聴、射撃、閃光弾を放つことができるの。しかも、これは認証された人しか操作できない特別ものよ」

 燈子は自信満々に説明をした。

「凄いな。ドローンの操作画面の設定に説明もついていて分かりやすい。ありがとう、神崎」

 翔は目を輝かせて、燈子を見て嬉しそうに笑った。

「喜んでくれて嬉しいわ」

 燈子は微笑んだ。


「兄ちゃん、おめでとう! これ、僕がデザインしたんだ!!」

 春は、手作りのパイロットスーツを渡した。

「春、ありがとう。春のデザインしたパイロットスーツはおしゃれでやる気がでるな。学校では着ていけないから、トレーニングの時に使う」

「よかった。兄ちゃん、後で着てみてね」

 春は、満足気な表情をしていた。


「翔くん、おめでとう!」

 桜は、豪華なホールケーキを渡した。

「ありがとう。これってもしかして桜が作ったの?」

「うん! 料理上手になったでしょ?」

「うん。もはや、これはプロ並みに凄いよ」

「ありがとう。味も美味しいから味わってね」

 桜は、嬉しそうに話した。


「みんな、ありがとう!!!」

 翔は、みんなに祝ってもらえたことに感謝した。

「私たち、これからもずっと一緒にいようね」

 桜が嬉しそうに話した。

「当たり前だ。それにしてもあっという間に五年が経ったな。AIとITが発展して、生活が豊かになったけど、未だにタイムマシンに乗れる時期がやってこないなんて」

 翔は五年という年月をあっという間に感じ、タイムマシンに乗れないことに苛立ちを募らせていった。


「僕はいつでも準備ができているんだけどね」

「俺もだぞ!」

 真宙と翔はお互いに目を合わせて笑った。


「兄ちゃん、もう学校に行かないと!!」

「本当だ! みんな急ぐぞ!!」

 翔は、ケーキを冷蔵庫にしまって慌てて支度をした。

 翔の誕生日は平日であり、朝から翔の誕生日をお祝いしたため、ギリギリまで家でお祝いをした。


「誰よ。こんな朝早くからお祝いしようっ言ったの!!」

「ごめんなさい。私です~」

 桜は申し訳なさそうに謝り、学校へ向かう準備をした。

「まあ、朝から七瀬くんが幸せな一日を送ることが目標だから仕方ないわね」

 燈子は支度をしながら呟いた。

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