第23話 三時間目

 三時間目の授業が始まった。

「今からIT について説明をする。画面を出せ。IT とは、Information Technology の略で情報技術という。IT はパソコンやスマホなどのハードウェア、アプリやAI などのソフトウェア、インターネットやWi-Fi などの通信技術の三つの要素で構成されている。おそらく、AI とITの違いの理解がないはずだから説明する。AI とIT を日本語にすると、人工知能と情報技術である。IT の中にAI が組み込まれているため、IT がなければAI を作ることができない。つまり、IT を駆使して、AI を管理するということだ」

 早乙女先生は、画面に小学生でも分かるような図を送信して説明をした。

「つまり、ゲネシスで働くにはIT とAI の理解が必要ということね」

 燈子は、興味深そうに言った。

「そうだ。これからAI とIT はさらに進化していく。あと、ゲネシスはAI とIT だけじゃな

く、科学も駆使してタイムマシンを発明したところだということを忘れるな」

「はい」

 燈子は力強く返事をした。

「君たちにはIT を駆使して、システムエンジニア、プログラマー、開発エンジニアになってこの時代をより良くしていく使命がある」

早乙女先生は、クラスメイトたちに言い放った。

「IT を駆使すると、何ができるようになるんですか?」

 翔が質問をした。

「今、イメージした図を送信した。もしIT が発展していけば、世界はもっと豊かなものになる。君たちが使っているアプリ、画面からドアの鍵を開けたり閉めたりできるシステム操作の仕組みなどを開発をすることができる。例えば、目標のためにどうすればよいのか計算してくれたり、自分の健康を管理してくれるものであったり、自分の身長、体重、タイムマシンに乗れる身体であることを証明できたりできる。他にもまだ開発できていないものを君たちは作り、可能性を広げていくことができるんだ」

 早乙女先生は、期待を込めたかのように楽しそうにクラスてメイトたちに話した。

「AI が自ら話してくることもできますか?」

 翔は、心から楽しいという気持ちが伝わるほど熱心に質問をした。

「面白い考えだな。それは君たちの努力次第だな。では、そのために必要な知識を教える」

 早乙女先生は目を生き生きとさせ、システム、アプリなどの開発の仕方を説明した。



「これで三時間目の授業を終了とする。次の授業は体育だ。これに着替えて、グラウンドに集合だ。更衣室は、階段を上って三階の突き当たり右と左で男子と女子で分かれているからそこで着替えろ」

 三時間目の授業が終了し、早乙女先生から体操着が渡された。体操着は、今まで翔たちが着ていた体操着ではなく、軍隊が着てそうなカーキ色のパイロットスーツだった。

「なんだか、軍隊みたいだね」

 桜は、初めて着る体操着にわくわくしているのか、体操着をぎゅっと握っていた。

「本当に軍隊みたいだな」

 翔は、おかしくて笑った。

 翔と桜は、服を肩に合わせてお互いに笑いあった。


「私たちは軍隊と一緒よ。国の命令で動かされているのだから」

 燈子は、翔と桜が笑い合っているところを冷たい声で遮った。

 翔と桜は、瞬きもせず固まった。

「……じゃあ、一〇分もないから着替えに行くね」

「分かった」

 翔は、自分たちが軍隊だと想像すると全身に鳥肌が立ち、暗い気持ちになる前にその場から移動した。

 桜も同じ気持ちなのだろうか、慌てて更衣室へと向かった。

 翔と桜は、着替えが終わったら先にグラウンドへ行くように決めてから、男子と女子の更衣室へ分かれて入った。

 着替えが終わり、翔はグラウンドへと向かった。途中、桜が後ろから走って追いかけてきた。

「やっと追いついた…… 」

 桜は、少し息が上がっていた。

「わざわざ追いかけて来なくてもよかったのに。次、体育だぞ」

 翔は、顔が赤くなっている桜を心配した。

「翔くんを見たら思わず走ってた」」

 桜は、疲れているのにとても可愛らしい笑顔を翔に向けた。

「体育、疲れても知らないからな」

 翔は、照れていることがバレないように、そっぽを向いて少し冷たい態度をとった。

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