第7話 自己紹介
少し時間が経つと、先ほどグラウンドで話をしていた早乙女先生が教室に入ってきた。
「全員いるな。まず初めに自己紹介から始める。俺は
前に通っていた学校だと、先生は好きな食べ物や趣味とかを言って、楽しくなる自己紹介になるはずなのに、今回の自己紹介には一切なかったので今は楽しくなることは必要ないのだと思い知った。
「それでは前に立って、黒板に名前を書いて自己紹介をしてくれ」
早乙女先生の目線の先は、一番前の端に座っている少年に向けられた。
「何を話したらいいんですか?」
「自分で考えて話すんだ。過去へ行っても親切にどうしたらいいのか教えてあげる大人はいないからな」
早乙女先生は表情を変えず、少年に視線を向けた。少年は戸惑いながらも、自ら立って自己紹介をした。
自己紹介はどのクラスメイトも名前、学年、住んでいたところといったごく普通の自己紹介をした。
順番が進んでいき、桜のひとつ前に座っている少女の番になった。後ろ姿しか見えないが堂々と黒板の前へと歩き、綺麗な姿勢で綺麗な字で名前を書いた。
「私の名前は
燈子は無表情ではあるが、顔は小さく、透明な肌に透き通った綺麗な瞳をしており、クラス全員が綺麗だと思うくらい美少女であった。凛とした態度で話した後、サラサラな黒い髪の毛をなびかせて席に着いた。
これが噂のクールビューティーだと思った。この状況で誰も言わなかったポジティブな発言がとても印象に残った。
燈子の自己紹介を聞いたクラスメイトたちは目を丸くしていた。
次は桜の番となった。桜は緊張感を漂わせてゆっくりと前へ歩き、震えた手で可愛い字で名前を書き、足がガクガクと震えたまま前に立った。
「私の名前は、帆士桜です。えっと……住んでいたところは神奈川県で、好きなことは絵を描くことといちごを食べることです。よろしくお願いします」
桜は、誰が見ても緊張していると分かるくらい石のような固い表情をして話した。
それを見たクラスメイトたちは、先ほどまで表情が強ばっていたが自然と笑顔になり、拍手をした。
桜は、嬉しそうに少し早歩きをして席に着いた。
「よかったな」
俺は無事に自己紹介を終えた桜に笑いかけた。
「うん。次、頑張って」
桜は、安心した表情して微笑んだ。
自分の番がくると、緊張しながらも勢いよく立ち上がり、一歩一歩大きく前へと進み、黒板の前に立ち、大きな字ではっきりと自分の名前を書いた。
「俺の名前は七瀬翔です。必ずタイムマシンに乗ってみんなを助けます! よろしくお願いします!!!」
目を輝かせ、堂々と大きい声で言った。
すると、クラスの雰囲気は一気に明るくなり、クラスメイトたちから拍手という期待の音が教室に響いた。
俺は安心して、自分の席についた。
次は俺のひとつ前の席に座っている少年の番になった。先程、工藤科学者に落ち着いた態度で話した少年だった。俺とは正反対に落ち着いた足取りで黒板の前に立ち、一字一字を丁寧に名前を書いた。
「僕の名前は
真宙はブラックホールのように暗い黒髪で、星のような輝く瞳をしていた。まさに宇宙の“宙”の名前が入っているのに相応しいと思った。
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