第5話 集められた子どもたち
二〇二四年九月一〇日、二年の時を経てウイルスのワクチンが完成した。ワクチンは利き手の甲の親指と人差し指の間の
国からの命令により、生存者は東京に集められた。割合は、子どもが多く、大人は少ないということが分かった。
国からの支援で学校に通うことができるようになり、俺は六年生、春は四年生として、二年ぶりに小学校に登校することとなった。
早速、国からの命令により、小学生、中学生、高校生はグラウンドに集められた。
グラウンドに着くと、多くの小学生、中学生、高校生の子どもたちが集められ、泣いている子、不安そうな表情を浮かべた子で騒がしかった。
不安な気持ちでいっぱいだが、春が右手をぎゅっと握って泣くのを我慢する姿を見て、不安な気持ちを抑えて春の手をぎゅっと強く握り返した。
すると、突然、左手を誰かがぎゅっと強く握ってきた。左隣を見ると、いちごのヘアゴムを付けたツインテールの同い年くらいの少女が左手を握っていた。少女は唇を噛みしめて春と同じように泣くのを我慢していた。
このとき、俺は春とツインテールの少女を笑顔にさせたいと思った。
「俺の名前は七瀬翔っていうんだ。よろしくな」
少女の手をしっかりと握り、目を見て笑顔で話しかけた。
少女は驚いて、パッと目を見開いた。少女は口を動かすが、喉に物が詰まったかのように声を出すのが苦しそうだった。
「…………私、
俺の目を泣きそうな目で見て、精一杯声を出した。桜はこれ以上話さなかったが俺の手を強く握り返した。
桜の涙が溢れるか溢れないかくらいの泣きそうな目をしつつも真っ直ぐな強い目をしていた。
周囲は騒がしいままであったが、それは一瞬で収まった。
「静かに!」
マイクを使っていないのに大きな声がグラウンドに響いた。その場にいる全員が静かになり、声のする方へ向くと、スーツを着た顔の整った三〇代前半くらいの男性が朝礼台の上に立っていた。
静かになったのを確認してから、男性は落ち着いた声で話した。
「俺は今日からこの学校の先生になった早乙女だ。生き残った君たち二〇〇名にお願いがある。工藤さん、お願いします」
早乙女先生は朝礼台から降りると、容姿端麗な三〇代前半くらいの男性が朝礼台へ上がった。
「俺の名前は
工藤科学者は、平然とした態度で生き残った子どもたちに頼んだ。
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