005 条件を満たしまくりました
『条件を満たしました。〈ヴァルプスLv.1〉が〈ヴァルプスLv.2〉になりました』
おん?
『条件を満たしました。〈ヴァルプスLv.2〉が〈ヴァルプスLv.3〉になりました』
おえ?
『条件を満たしました。各種ステータスが上昇しました』
『条件を満たしました。スキル〈鑑定Lv.1〉が〈鑑定Lv.2〉になりました』
『条件を満たしました。スキル〈第六感Lv.1〉が〈第六感Lv.2〉になりました』
『条件を満たしました。スキル〈自動回復Lv.1〉が〈自動回復Lv.2〉になりました』
『条件を満たしました。スキル〈自動回復Lv.2〉が〈自動回復Lv.3〉になりました』
『条件を満たしました。スキル〈体力回復Lv.1〉が〈体力回復Lv.2〉になりました』
『条件を満たしました。スキル〈尖牙Lv.2〉が〈尖牙Lv.3〉になりました』
『条件を満たしました。スキル〈尖爪Lv.1〉が〈尖爪Lv.2〉になりました』
『条件を満たしました。スキル〈毒耐性Lv.1〉を取得しました』
『条件を満たしました。スキル〈痛覚耐性Lv.1〉を取得しました』
おぉぉおぉぉおおおおぉ?????
ちょ、ちょちょちょっと待ってもらっていいですか??
ちょ、そんな一気に言われると処理できないっていうか理解しきれないっていうか。
ちょ、聞き逃したのでもう一回言ってもらってもいいですかね!!?
………。
え、えくすきゅーずみぃ?わんもあぷりーず?せい、いっと、あげいぃん?
……。
…。
うぐああああぁぁぁぁ!!!
聞き逃したぁぁぁ!!!
なんかすごい大事そうなこと言ってたのに!!
頭が潰れたハチの死骸の前で、今度はさっきと別の意味で悶え始める私。
空中から毒攻撃を仕掛けてくるハチとの闘いに勝利してから、まだそれほど時間は経っていない。
っていうか最後にくらった毒の痛みで悶えていたところにいきなり今のが聞こえたのだ。
えぇっとまてまて…聞けたところだけでも思い出せ…。
まず、レベルアップしてたな。ヴァルプスがレベル1から3になったとかなんとか。
この"ヴァルプス"が…私かな?状況的に。
キツネ…じゃなかったな、やっぱり。
私の名前がヴァルプスってことは…それこそないなぁ。名付け親だれやねん。
野生の動物が子供一匹一匹にいちいち名前を付けるとも考えにくい。
となると、この世界ではキツネのことを"ヴァルプス"って呼ぶんだろう。
この世界特有の言語…?いや、でも天の声は日本語だしなぁ。
あれ、てかそうなるとなんで天の声は日本語なんだろ。
ま、まずい、謎が謎を呼ぶ…。頭が痛くなってきた。これ以上深く考えるのはやめよう。
そういえば、以前やりこんでたゲームもキツネのモンスターの名前がヴァルプスだったなぁ。
懐かしいなぁ。よく一緒にプレイしてたあの二人はどうしてるかな。
あー、あの空間だけ元に戻らないかなぁ。
…い、いや、ダメだダメだ。そんな好都合な思考ばっかりしてたら生きてけないぞ私。
よし、えーっと、あとは…、スキルが色々…なんかどうにかなってたな。
とりあえず鑑定のレベルが上がったのと、他にもいろいろ上がったのは分かった。あとはよくわからんかった。
だってさ~!!痛みに悶えてたらいきなりがーっと言ってくるんだもん!!咄嗟に全部聞き取れるわけないでしょ!?
まぁうん、とりあえず鑑定のレベルが上がったのは朗報だな。うん。
そうとなれば早速試してみたいとこだけど……。
私はそこで、一度周りを見回す。
ところどころが毒で変色した、しかしそれでもなお幻想的なその景色。
ここにいたらまたあのハチみたいなのに襲われるかもなぁ。
………とりあえず、最初に目覚めた場所に戻るかぁ。ほかに安全そうな場所も分からないし。
────ここをキャンプ地とする!
口に咥えるかたちで引きずってきたハチの死骸をどさっと地面に置きつつ、私は心の中でそう宣言する。
今いるのは、私が最初に目覚めた空間。
蔓草に隠れた入り口、川辺で水の確保が容易、周りは木々で囲まれていて入り口以外の進入路はない。
天井は低く、窮屈なほどではないが周りも狭くて、少なくともこのハチのような魔物はまず入ってこれない。
入り口を塞がれると袋のネズミならぬ袋のキツネになってしまうが、それさえ対策すればこんなバケモノそのものなハチがうろつく場所でこれほど安全な空間はないと思う。
結局、このハチに襲われたせいで本来の目的である食料調達もサブ目的である周囲の探索もできずじまいだ。毒を浴びたせいでできたお腹の傷は、やけど痕みたいになって毛が抜けてた。
今はだいぶ痛みが和らいでるけど、これは魔物だからかな。傷の治りも早そう。期待したいところ。
それはそうと、探索は実質失敗に終わったようなもんだが、それでも得たものはある!!
そう!!レベルアーップである!!
鑑定のレベルが1から2に上がったんだからこれはもう試すしかない!!
レベルが上がったんだし、流石にもう『壁』とか『石』とかじゃなくなる…はず!
というわけで、まずは私自身から。
鑑定!!
『《ヴァルプス Lv.3》』
…お?お~。
名前──というか種族名?──とレベルが見えるようになったと。
これはかなりの大成長なのでは…?
『魔物』としか表示されなかった前までと比べたら圧倒的な情報量に感動もんでは!?
となると、このハチの死骸を調べたらなんの死骸か分かったりもするのかな?
『リアガードアピスの死骸』
おぉ~!ちゃんとなんの死骸か補足がついてる!!
リアガードアピスか…。ハチではないんだなぁやっぱり。
まぁ私がキツネじゃない時点で察しはついてたけど。リアガードアピス…役職?
リアガードって英語じゃね?あれ?どゆこと?たまたま発音が同じだっただけ?
……異世界転生のご都合主義…なわけないよなぁ現実だし。
う~ん…まぁ、今考えても分からないし、一旦いいや。分からないことより分かることを探そう!
あとは~、前と同じように周りのものも鑑定してみるか。
『ヒカリゴケ』
あ、そのままなのね。
『
ん?
『魔草』
あれ?
『魔草』
あれれ?木も草も蔓も全部同じ?なぜに?
う~ん、固有名称がついてないとか?そもそもこの鑑定のスキルで示される情報が何を元にしたものなのかもよく分からないし、名前の付けられてないものとかもあるのかな。
そうなると光る苔は一応ヒカリゴケって名前ついてるし、その辺の基準ってなんなんだろ。
一番考えられるのは、人間とかがいて、人の一般常識が反映されてる…とかだけど。鑑定なんてスキルをこのハチとかみたいな魔物が使うとも思えないし。
やっぱりいるのかなぁ、人間。まぁいるよね、魔物に種族名っぽいのまであるし、少なくとも人みたいな知的生命体がいないと意味わからないよね。
いるなら会ってみたけど……今の私が人間と出くわしたら間違いなく討伐対象だよな…。
ラノベに基づく知識から考えれば、人間に見つかって殺されないほうがおかしい。ハチすらこのレベルの世界なのだ。魔物ってだけで即殺害対象と考えるべきだろう。
うぅ…嫌だなぁ。
っていうか魔物とか魔草とか、"魔"ばっかりだな。
もしかして…この調子なら魔法もあったりしてぇ~!?
いや、むしろないほうがおかしい。絶対に。
だってハチに攻撃されてたときも、まるで空気中から毒液が出現したみたいに毒の玉ができてたし、あれも多分魔法とか、魔法みたいなスキルだろう。多分。そうに違いない。
魔物にレベルにスキルに……これだけお膳立てされて魔法がないとかあり得ない!どこの剣で芸術なVRゲームですかって話よ!
よし!当面の目標に魔法の習得を追加!!
何かしら、魔法を使う手立てがあるはず!!きっと!
だってほら!ラノベだったらこう、魔力を感じる…的な感じでみんな魔法使えるようになるし!!
いける!…はずだ。
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