↓第5話 はめつか、それとも――

 その日の夜。

 城の屋上で、ネーグルとアルヴァがなにか話していた。


「兄さん、森がおびえてるよ……」


「ああ、風も妙に騒いでる」


「ほんとうにはじまるのかな……?」


「おそらくな。でも心配はいらない」


「でも……」


「もし、万が一のことが起きたとしたら――」


「起きたとしたら?」


「そのときは私たちの手で……」


 見上げた雲間に、細い月明かりが覗く。

 いつになく深刻そうな顔つきのネーグルを、アルヴァはただ黙って見つめることしかできなかった――

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