第14話

「えっへへ〜、どう? これはもう信じるしかないでしょ?」


「……ゲリラ……豪雪だ……」


「……君、どんだけ頑固なの……」




 雪女の能力を酷使してしまったのか、額に汗を流した彼女が得意気に聞いてくる。


 それに対して、意地でも理解したくない俺が戯言をほざくと、彼女は呆れていた。


 混乱し、言葉を失っていると、不意に玄関のドアを叩く音が聞こえてきた。


 チャイムがあるのにドアを乱暴に叩く。


 そんなことをするやつは、俺は1人しかしらない。


 間髪入れずに、ドアを叩く輩の声が部屋に響いた。




「岳斗ー? いるんでしょー?」




 声の方角に目を向けて、彼女が聞く。




「誰か来たみたいだよ?」


「え、あぁ、多分知り合いです。高校からの同級生で……はっ!」




 話しながら気がついた。


 今、ドアの前にいるのは、おそらく秋葉だ。


 栗原秋葉。


 俺の高校、大学の同期で、やたらと俺に突っかかってくる訳のわからない女。


 そして、今目の前にいるのは、もっと訳のわからない女だ。


 おまけに、何故かその女は汗だくだった。


 それが何を意味するのかは、言わなくても分かるだろう。


 事態は、最悪だ。

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