第2話
誰かが、か細い声でそう俺に声を掛けた。
おそらく、女性の声。
突如現れたその存在に驚いたが、声を返す気力も、道理を考える余力もなく、ただ倒れて蹲る事しかできなかった。
すると、その女性(おそらく)はスルリと俺の脇下に潜り込み、重そうにしながら、辛そうに俺を担ぎ上げた。
ゆっくりと、前へと進む俺と彼女。
朦朧とする意識の中で、色白な彼女の小さな存在感のみを感じていた。
やけに冷たい……この子も遭難していたのだろうか。
このままでは2人とも死んでしまう。
そう危惧した俺は、残り少ない力を振り絞り、彼女に言った。
「俺は……大丈夫だから……」
「いいから、行くよ。大丈夫、私が助けてあげるから。」
俺の事は見捨てて、彼女だけでも。
そう言おうとした矢先に、言葉を重ねるように、彼女に主導権を握られてしまった。
「でも……」
「遠慮なんてしなくていいから。その代わり……」
遠のく意識の中で聞こえた、彼女の言葉。
その言葉の意味を、この時の俺はまだよく理解できいなかった。
そして、知りもしない。
ここで彼女に助けてもらった事が、後々の俺の人生にとんでもない影響を及ぼす事になるだなんて……
「責任は、とってもらうからね」
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