第8話
命の恩人。
その言葉で、全てを思い出した。
崖から落ちて死にかけていた時に、俺を担いでくれた女の人。
そうか、この人が俺の事を助けてくれたのか。
夢だと思っていたあの記憶は、現実だったんんだ!
全てに合点がいった俺は、興奮気味に彼女に言った。
「あ、あの時の!」
「そう! 君を助けた命の恩人! それこそがこの私だよ! 忘れるだなんて恩知らずだなーもー!」
「は、はぁ……いや、すいません、その節は大変お世話になりました。お礼もできずにいたので……また会えて嬉しいです……で、でも、どうして僕の家に?」
至極真っ当な疑問を、俺は彼女にぶつけた。
助けてもらった恩を忘れてなんかいないし、お礼も言えずにいたのでまた会えて嬉しい気持ちももちろんある。
でも、それ以上に、彼女がどうやって俺の家を特定して、どうして俺の居ぬ間に部屋に入っていたのかと言うことに若干の恐怖を覚えていた。
恐る恐る彼女に聞くと、彼女はキョトンとした顔で答えた。
「どうしてって、約束したじゃん。責任は取ってもらうって」
「せ、責任?」
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