第6話
秋葉から逃げるように大学を去り、足を引きずりながらようやくたどり着いた自宅。
大学から徒歩15分くらいのところに位置する俺のアパートは、よくサークルの連中に溜まり場にされている。
そんな無駄な情報はさておき、今日はこれからどうしようか。
まぁ、昼寝でもすっか。
そう思いながらドアに手をかけ、ポケットから鍵を取り出そうとするも、すぐに鍵が必要ない事に気がつく。
なぜなら、ドアが開いていたからだ。
あれ、出る時カギ閉め忘れたのか?
いや、でも確か、サークルの奴らに勝手に入られないようにするために施錠したはず……
そう怪訝に思いながら、家に入る。
すると、突如冷たい風が俺に向かって吹きつけた。
あれ? 窓も閉め忘れたのか?
このご時世になんて不用心なんだと自分を律しながらリビングに向かうと、それは、いた。
「あ、おかえりなさい」
「…………」
理解が追いつかず、言葉を失ってしまう。
俺の部屋に、見知らぬ女性が鎮座している。
白い肌、か細い体、黒い髪。
記憶を辿っても、俺の知り合いにこんな日本人形みたいな美人は存在せず、今目の前にいる彼女が他人である事だけは辛うじて理解できた。
「す、すいません! 部屋間違えました!」
そう言い、慌てて松葉杖をつき玄関から飛び出した。
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