第5話

「……で、ちゃんとできてんの?」


「ちゃんとって、何が?」


「だから、その足でちゃんと生活できてんのって聞いてんの!」


「怒んなよ!主語が足りねーんだよ主語が! ……まあ、何とかできてるよ。不便な事もあるけどな」


「……ご飯は?」


「飯? あぁ、コンビニとかで買ってちゃんと食ってるよ」


「…………」




 え? 何で不満顔?


 今の会話の中で怒る要素あったか?


 そんな俺の考えとは裏腹に、秋葉はジトリとした目でこちらを覗い……いや、睨んでくる。


 訳がわからないが、怖いし面倒だ。


 ここは適当な事言って、戦略的撤退とさせて頂こう。




「あの……あんたの家に上がるとかめちゃくちゃ嫌だけど……あれだったら、その……ご飯、私が作りに行ってあげ…」


「あ! そうだ! 今日宅急便来るんだった! 時間指定してたの忘れてた! んじゃ! みんなおつかれ!」




 秋葉が何かを言いかけていたが、構わず会話をぶった切って離脱する。


 遠巻きに、「ま、待ちなさいよ!」と叫ぶ秋葉の声が聞こえてくる。


 しかし、立ち止まらない。


 これ以上、貰い事故に遭うのはこりごりだ。

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