第58話 好き勝手言ってんなぁ!?





【RSF攻略用掲示板〜気軽に質問どうぞ〜】


名無し

『妖精最高過ぎんか?』


名無し

『めちゃくちゃ攻略難易度下がるよこれ』


名無し

『可愛いし強いしでレイには感謝しかないわ』


名無し

『でもラーグとかピノーみたいに会話出来る妖精っていないよな。もちろん意思疎通は出来てるけど…』


名無し

『そもそも妖精の大多数はそうらしい。妖精解放の前から人間界にいる強い妖精? だから会話も出来るっぽい』


名無し

『あー、確かにピノーくんもアプデ直後からもう闇医者と一緒にいたもんな』


名無し

『妖精ってギミックを知れば知るほどピノーくんの異質さがエグいw 普通の妖精は形態変化しません!』


名無し

『上位妖精的な存在なのかな。そしてそれを従える闇医者…』


名無し

『うーん、流石はワルクエプレイヤーと言ったところwww』




******************




【RSFを楽しもう!】


名無し

『もう皆んなワルクエの動画みた?』


名無し

『みた!』


名無し

『マジで面白かった』


名無し

『レイちゃんのは配信でみてたから編集の丁寧さにビックリしたわ。AIの進歩が凄まじい』


名無し

『それで言うとヨルさんね! 笑いと感動のメリハリエグすぎて風邪引いたわ』


名無し

『聖女様にデレデレしてんの色んなプレイヤーからヘイト買ってたなwww』


名無し

『それでサリアの聖教会人が多かったのか笑』


名無し

『ビルズも今人多いよね?』


名無し

『そう、動画にも出てきたアリオお婆ちゃんがビルズ復興のクエスト発注してる』


名無し

『僕も行ってきました! 聖地巡礼も兼ねてたんですけど、黄昏の丘とんでもない絶景でしたよ!!』


名無し

『お、フクロウ信者くんだ』


名無し

『闇医者としてのフクロウを知ってた身からすると、ギャップで惚れそうになったよね…』


名無し

『これでロールプレイやり難くならなきゃ良いけど、杞憂かな?』


名無し

『フクロウさんはそれすらも楽しむはずです! だってフクロウさんですもん!! 』


名無し

『フクロウには会えた?』


名無し

『会えて無いです!!!』


名無し

『なんでこんなテンション高いんだよ…笑』



******************




【ルナ嬢を見守る会】


名無し

『ルナ嬢、またしてもトレンド入りと』


名無し

『レイさんとフクロウ氏、ルナ嬢の色んな感情を見せてくれてありがとう…』


名無し

『同時視聴の視聴回数もう20万回いったw』


名無し

『フクロウ氏のギャグな一面しか知らなかったからめっちゃギャップあったな笑』


名無し

『もうフクロウで笑えないかもwww』


名無し

『笑ってるが?w』


名無し

『しょうがないっちゃしょうがないけど、ルナ嬢の配信頻度も下がっちゃうし、俺の生きがいがぁ…』


名無し

『まあ、応援しようや』


名無し

『ヨルくん配信してくんねーかなー??』


名無し

『あの人頭おかしいから何かしらで炎上しそう笑』


名無し

『ピノーきゅんの方が人気出るだろw』


名無し

『ヤブ医者よりも猫耳美少年だよなぁ!』


名無し

『アリエッタさん紹介してくれ、フクロウ』


名無し

『俺にはルナ嬢がいるから…』


名無し

『虫取り配信でまたショッキングピンクの虫取り網見せてくれwww』




******************

************

******

***



「なんか好き勝手言ってんなぁ!?」


 大学の講義が終わり、コスケがトイレに行っているのを待つ間に、RSF関連の掲示板がある事を教えてもらった俺は、それを眺めていた。


「特にルナの視聴者共! 俺の桃色丸の事バカにしやがって!」


「桃色丸…?」


「おお、コスケ」


 そうこうしているとコスケが戻ってきた。


「掲示板、どうだった?」


「好き勝手書かれてるわ」


「はは、おもろ」


「は、お前」


「掲示板にもあったと思うけど、闇医者ロールプレイはどうするんだ?」


 あー、そう言えばロールプレイやり難くなりそうって書き込みあったな。


「全然大丈夫。動画に出たのも利用規約に同意してたからだし。まあ主演になるとは思ってなかったけど」


 広告PVの隅っこにちょっと映るだけでもなんかフクロウの宣伝的な感じで面白いかな〜と思ってたわけだが、結果としてその数倍は面白い結果になってしまった。


 はは、おもろ。


「それなら良いか」


「なんだ? 一緒にゲーム出来なくなるかもってか?」


「うん。まだまだ一緒にゲームしたいからさ」


 コイツ、なんで恥ずかしげもなくストレートに言えるんだよ。俺がまだ思春期抜け出せてないみたいじゃねえか。


 やめろよ、誰が思春期ボーイだ。


「この後はバイト?」


「そう。大学始まったからRSFにログイン出来るの週末だけになりそうだわ」


「それもそうだね〜。またウイセも誘って遊ぼう」


「だな。…てか傘持ってきた?」


「折りたたみならあるよ」


「いーれーてー」


「いーいーよー」


 突然降り出した雨を見ながら、俺とコスケは小学生低学年のような掛け合いをした。




******************

************

******

***



「とりちゃんシフト入るの久しぶりじゃない?」


「確かに2週間ぶりかもしれんす」


 バイト先の制服に着替え、社員さんと会話をする。バイト先では苗字の大鳥から取った「とりちゃん」というあだ名で呼ばれている。ヨルくんだとありきたりだかららしい。


 バイトが始まるまでのこの時間が、俺は結構好きだったりする。


 年上の人と世間話出来るのもバイト先くらいだからな〜。皆んなもバイトしよう。知見を広げるのだ。


「おはようございますっ!」


「ミツキちゃんおはよ〜」


「時間ギリギリじゃん」


「学校出るの遅れちゃって! すぐ着替えます!」


 そう言ってミツキちゃんは更衣室に駆け込んで行った。


 彼女も確か今年高校3年生になるはず。大学受験だったりで忙しいのだろう。


 ミツキちゃんのタイムカードを切っておき、時計を見る。ちょうど時間になったところで、更衣室からミツキちゃんが出てきた。


「タイムカード切っといたよ」


「あ、ありがとうございます!」


 前髪を整えるミツキちゃんと一緒に、フロントへ向かう。早番の人と交代し、仕事を開始する。


 とは言っても今日は天気も良くないので、あまり人はいないようだ。


「今日は暇かもね」


「そうですね。平和でお願いします」


「はは、フラグ立てないでね?」


 そんな中身の無い他愛のない話をしていると、いつしか大学受験の話になった。


「第一志望とか決まってるの?」


「はい、国立のT大を一応目指してて…」


「おお、俺のとこじゃん」


「え、大鳥さんT大なんですか!?」


 ミツキちゃんに話してなかったっけかと思いつつ、過去を遡っていると、裏から社員さんも出てくる。


「そうだよー とりちゃんT大生でめっちゃ頭良いんだから」


 社員さんのセリフにミツキちゃんが目を輝かせながら俺を見つめているのに気がついた。


 何かとても嫌な予感がする。


「勉強教えてください!!」


「あー…」


 自分の時間が減るの嫌だなぁ〜…。


 でもめっちゃ目キラキラしてるなぁ〜…。


「良い、よ…?」


「ありがとうございます!!」


 うん、いざとなったらコスケに丸投げしよっ!


「…俺タオル行きますね〜」


 社員さんとミツキちゃんにフロントは任せ、俺はタオルを畳むべく、裏へと向かった。


「大鳥さんって優しいですよね」


「そうだね〜。でもあの子他人に興味が無いというか何というかだから、まさか教えてあげるってなるとは思わなかったよ」


 おや、なんか好き勝手言われてるな?

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