【RSF】一緒にワルクエ観よPart1【同時視聴】





 久しぶりの配信、なんだか緊張してるけど、深く息を吸って配信開始ボタンをクリックする。


「あ、久しぶり〜」


『こんルナ〜』

『久しぶり!』

『フクロウさん身バレしちゃったね笑』

『相変わらず声が良い!!』


 コメントを見ると、いつも通りコメントが流れて行く。騒がしいというか何というか、待っていてくれたのかなとか思うとなんだか可愛いかもしれない。


『久しぶりのルナ嬢だぁ…』

『耳が気持ち良い』

『結婚してくれ』

『ルナたそは絶対に良い匂いがする』


 うん、やっぱり気持ち悪いね。


「相変わらず気持ち悪いコメントも多いね。久しぶりの配信だけど、今日はなんかγ(SNSツール)で話題になってたからワルクエの同時視聴しようかな〜って」


 今回の配信の内容を説明している内に、自分がまだ自己紹介していない事に気がつく。


「あ、ルナって名前で配信してます。良かったらチャンネル登録お願いします」


『可愛い』

『もう一回チャンネル登録ボタン押します!』

『登録したよー』

『同時視聴楽しみ!』


「なんか登録解除しただけの人もいた気がするけど、まあいいや。早速観ていきたいんだけどさぁ…」


 RSFの世界の根幹に関わるワールドクエスト。そのクリアを記念としたものとして、イベントを誰でも観れるように、動画として公式チャンネルにアップロードされたのだけど、そこにはどうにも見覚えのあるような人もいて…。


「このヨルって人私の知ってる人…?」


『うん』

『例の闇医者だよwww』

『フクロウさん!笑』

『身バレしちゃったぁ…w』


 コメントを見る限り、やはりヨルさんで間違いないようだ。まさかこんな形で身バレするとは、なんだかあの人らしいと言えばあの人らしいのかもしれない。


「まあ、じゃあヨルさんは最後のお楽しみにしようかな。最初はレイさんの妖精の解放から観てこうかな」


『お、レイさん!』

『配信観てた〜』

『マジで主人公だったよ!』


「ネタバレしたらブロックするからね」


『はぃ…』

『これって勝手に動画にされるの?』

『ネタバレしたらブロックしてもらえるの!?』

『辛辣なのも良い…』


 私の態度の何が良いのか分からないけど、喜んでるのなら良いのかな?


 それはそうと、気になるコメントもあるし、拾ってみようかな。


「勝手に動画にされるってコメントあったけど、確かゲーム始める前の利用規約的なのに載ってなかったっけ」


 どんな文面だったか忘れたから、調べてみようかな。確か公式のwebページにも同じ内容のものがあったはず…。


「えーと…」


『カタカタ…』

『もたもた…』

『タイピング赤ちゃん』

『VRゲームしか触ってないお子ちゃま』


「うるさいな! 女の子を待つことも出来ないからモテないんだよ」


『うっ…!?』

『おい言って良い事と悪い事あるぞ!?』

『誰か! 救急車呼んでくれぇ!!』

『罵倒気持ち良い…』


 つい出た言葉にコメント欄が大盛り上がりを見せる。もうやだ、この人達…。


「あ、あった! えーっと、ゲーム始める前の利用規約にね、プレイ映像をゲームPVや広告、その他動画として使用しても良いかの欄があるの」


『配信に映っても良いかの前にあったっけ』

『はいを選択するとデッカい音で本当によろしいですかが出るんよね笑』

『俺も初見の時ビビったwww』


「そう、これにOKしてる人だから動画になってるんじゃないかな。まあでも、主演の映画みたいになるとは思ってなかったかなぁ…」


『俺も笑』

『2時間弱あるのやばいw』

『まだ観れてないからルナちゃんと観れるの楽しみ!』

『ルナ嬢最近配信頻度減ってるけどどした?』


 久しぶりの配信という事もあり、質問も多めなので同時視聴の前にいくつか答えとこう。


 こうして柔軟に配信出来るようになったの、成長してるのを感じて嬉しいな。


「えっと、私今年度から3年生で本格的に大学受験があるんだよね。だから塾探しとかで配信できてなかったの。これからは週一で配信してくからそれで許して…」


『受験頑張れ!』

『ルナ嬢が大学生になっちゃう…』

『大学生になったら元JKを名乗るの?』

『彼氏出来たら教えてね』


 応援してくれてるのかな…? これでこれからの配信頻度も話せたし、初めての同時視聴やっちゃおう!


「じゃあ早速、レイさんのワルクエ動画観ちゃおっか!」





******************




 視聴者と時間を合わせ、動画の再生を開始する。動画時間は約1時間半で、ワールドクエストの中で重要な局面を切り抜いた超大作になっているみたい。


 まず初めはビーチが映し出され、そこでくつろぐ白い水着を着たレイさんが現れた。


「ちょ、ちょっと止めるね。え、あの、えっちすぎない…?」


『ルナ嬢?笑』

『うんえっち!』

『ここだけ何回も見直す奴も居るしね…。え、俺? もう10回は観たよ』


「おっぱいが大きい…」


『ルナ嬢!?』

『ルナ「おっぱいが大きい」』

『レイに脳やられた?笑』

『お子ちゃまには早かったか〜www』


 こ、これが大人の魅力って事…!? いや、私もこれから大きくなるかもしれないじゃん!


 そう心の中で呟きながら、自身の胸を見下ろす。そこには申し訳程度に膨らんだ可愛らしい二つの小山があった。


「私も、大きくなるもん…」


『www』

『う、うん!』

『元気だして泣』

『まだ見始めたばっかなんだわ笑』


 気を取り直して、スタイル抜群のレイさんで止まったままの映像を再度再生する。


 すると海で水遊びをしているドラゴンとの出会いが映し出された。


「まって、もう一回止めるね?」


『あ、はい。笑』

『ラーグくんだ!』

『ちぴちゃぱドラゴンことラーグくん笑』

『初見は確かにビビる笑』


「ドラゴン? 会話が出来るドラゴン??」


 見たことも聞いたこともない存在の出現に思わず止めてしまったけど、コメント欄を見る限りどうやらもう皆んな知ってるらしい…。


「ねえ、私に事前情報として入れといた方が良いのってある?」


『ネタバレはねぇ…?』

『ブロックされちゃうから…』

『ネタバレはやめてください!!』


「イジワル! ばか!」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る