流行りのVRMMOで闇医者ロールプレイしてたら人気配信者に晒されました
プロローグ 闇医者になりたくて
「つ、ついに完成したぁ!!」
自分のステータス画面を見て狂喜乱舞すること数秒、落ち着いて腰掛けた俺は、これまでの道のりを振り返ってみる。
春休みの暇な時間を持て余した俺、大鳥ヨルは、最近流行り始めたゲーム『ReStart Fantasy』通称RSFをプレイする事に決めた。
RSFは、VR技術を最大限導入したフルダイブ型のMMORPGで、リリースしてから2ヶ月の間で、国内100万ユーザー達成を誇る神ゲーだ。
街並みからは良くある中世らしさを感じられるが、至る所にSFチックな機械や遺跡があったりと、何でもありな世界観。俺の友人は考察に胸を躍らせていたっけ。
キャラクリからスキルの多様性、全NPCに最新のAIを搭載していたり、現実とは違うもう一つのリアルと言っても過言じゃないほどのクオリティ。
俺は感動すると共に、このゲーム内で思いっきり遊びたい欲が爆発してしまった。そして現実ではまず出来ない、俺の小さい頃の憧れをここでなら出来るのではと考えた。
それが『闇医者』のロールプレイ。
小さい頃に読んだマンガに登場する、違法でも人の命を助けようと奮闘するキャラに憧れていた事を思い出し、それがRSFでなら再現しようと思えば出来るのだ。
そこにネタ要素を入れて、辻斬りならぬ辻治療をプレイヤーに行い、医療費を請求してしまおうというのが俺の魂胆だ。
RSFの規約を読んでも自分のやろうとしている行為に該当する禁止事項は無かったが、運営から注意があればやめようとは思ってる。
キャラクター名はフクロウ。梟要素のある黒いペストマスク風の仮面に、わざわざ裁縫スキルを取って作った黒色の白衣。
「てか黒い白衣って矛盾してるな…」
じわじわと来る面白さと、徹夜のテンションでニヤけが止まらないがそれはさておき、ついに見た目、スキル、装備、あと素材集めのついでで上がったキャラクターレベル。
闇医者ロールプレイのための全てが整ってしまった。
「明日から遊んでくぞ〜。今日はしっかり寝よっと」
設定からログアウトを選択し、リアルに戻ってくる。VRデバイスを外すと、徹夜を繰り返したせいで、逆に一周回って外は暗くなっていた。
「お、ちょうど良いじゃん。おやすみ〜」
良い気分で布団に入った俺は、闇医者ロールプレイの最初のターゲットが人気配信者で、一瞬にして晒されてしまう事を、まだ知らない。
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