第20試愛 優Side ラウンド2
今日は真緒と一緒にプールに行く日である。プールと言っても市民プールの様な所ではない。ハワイアンなスパリゾートである。以後ハワスパと呼称する。
今、私と真緒はハワスパ直通のバスに乗っていた。
隣の通路側の席に座った真緒をチラリと盗み見る。組んだ足はオリーブドラブのカーゴパンツに包まれ。腕組により強調された豊満な胸は、黒のノースリーブシャツによって守られ。それを白いシアーシャツで鎧っていた。
そのまま視線を真緒の横顔に向ける。何やらじっとスマホの画面を見ていた。ゆらゆらと揺れる星のストラップ。あれは私があげたヤツだ。ふふっ。大事に使ってくれているようで嬉しい。
にしてもホント。真緒の顔はどの角度から見てもカッコイイなぁ。あと。そんなに真剣にスマホの画面に食いついて、一体何を見てるんだろう?
気になった私は。真緒の肩に自分の頭をコテンと乗せ、スマホの画面を覗いた。
「ま~おっ! 何見てるの?」
「ん? 今朝撮れたてほやほやの、新鮮な優のパンツの写真だけれど?」
「は?」
真緒のスマホの画面には。確かに私らしき人物のローアングルな写真が写っていた。黒いフリルスカートの中の水色パンツがガッツリと見えている。
「……いつの間に撮ったのよ」
「バスに乗る時。優が先に乗ったでしょ? その階段を上った所を下からこう……」
「いや、実践すんなしっ!!」
真緒は座った私のスカートの中を撮ろうと、スマホのカメラを向けて来る。慌てて足を閉じてガードした。何なのよもう。それに。これって盗撮じゃない? 盗撮って犯罪だよね? ん? 待てよ。もしかして他にも撮ってるんじゃ……。
だとしたら。そんな事しちゃ……駄目だろっ!!
私はそれを確かめる為、真緒のスマホをひったくろうとするが。
「判断が遅いッ!!」
「くッ!」
さっと躱されてしまう。いや、アンタは天狗の面を被った師匠かよ。盗撮の呼吸でも教えてるのかよ。
「そんな事をしなくても、わたしの下着姿を見せてあげるわよ」
「ん?」
今。真緒はなんて言った? 見せてあげる? 下着姿を? 真緒の?
「ほら」
「……ッ!?」
真緒が見せて来た写真には。下着姿の真緒の自撮りが写っていた。目元は見切れていて、ペロっと舌先を出している。穿いているのは黒いレースのパンツだった。とそこまでならまだ良かったけど。その上。つまりはブラを付けていなかったのだ。なら丸見えなのかと言えば違う。
片方の前腕と掌で敏感な部分を隠していた。俗にいう手ブラというヤツである。そこに私の目が釘付けになってしまう。目を逸らそうとしても、身体が言う事を聞かないのだ。だから私はそこを直視するほか無い。
真緒の身体。シミ一つ無い白い身体。腕によって潰れた豊満な胸。見えそうで見えない、敏感な部分。頬が上気していくのが分かる。身体の底が熱くなっていくのが分かる。
「ふふっ。どうやらお気に召した様ね? 優のスマホに送ろうか? その写真?」
「え? …………ぅん」
そう。これはあくまで保険だ。真緒が私の盗撮写真で悪さをしないかの。もし悪さをしたら、この真緒の写真をばらまくぞと。脅しをかける為の保険なんだ。
決して欲しいからじゃない。必要だからだ。
「それでナニをしても良いからね? 優?」
「…………しないし」
口ではこう言ったが。こんな真緒の写真を見せられては。此方も抜かねば無作法と言うもの。今夜のお供にさせて頂きます。はい。
***
ハワスパに到着。バスから降りた私達。人の流れに沿って受付を済ませ、そのまま女子更衣室に向かった。周りでは他の女性客たちが水着に着替えている。私は周りの視線が気になり、服を脱ぐのを躊躇っていたら。
真緒は堂々とした様子で服を脱ぎ出したでは無いか。ブルンと揺れた大きな胸に思わず視線を逸らす。危なかった。あのまま見惚れていたら。真緒の敏感な部分を直視してしまう所だった。
それだけはマズい。刺激が強すぎる。
「? どうしたの優? 着替えないのかしら?」
「ッ!? い、今着替えるとこなのッ!?」
「そう。なら私はもう着替え終わったから、先に行っているわよ? 優の水着。楽しみにしているからね?」
「……う、うん」
と言い残して真緒は女子更衣室を出て行った。その間。真緒の方を一度も向けなかった。ロッカーに入れた自分の水着をひたすら見ていた。だって。私の顔。今、真っ赤だと思うから。こんな顔、真緒には見せられないよ。
真緒の胸を見て赤くなったなんて知られたくないから。顔を真緒に向けられなかったのだ。お陰で、真緒がどんな水着を選んだのか分からなかった。
なに? 一緒に買いに行ったんだから知っているだろうって? そりゃあ知っているけども。でもあの時は。それぞれ自分に似合う水着を二つ選んで、その水着を着ていない状態で見せ合い。そのどちらを買ったのかは、お互いに見ないようにしたのだ。
当日まで、お互いにどっちの水着を着て来るか分からない様に。その方が楽しみも倍増でしょう? とは真緒の弁だ。
つまり。私は真緒が選んだ二つの水着を知っているが。そのどちらを選んだのかは知らないという事。真緒が選んだのは、黒のビキニと。黒のハイレグ。
そのどちらも真緒に凄く似合いそうだった。一体真緒はどっちを選んだんだろう?
て。そんな事考えてる暇なんて無かった。早く着替えないと。
不思議と真緒の事を考えていたら、周りの視線があまり気にならなくなった事に気付いた。そうだよね。真緒以外の視線なんてどうでも良いんだよね。真緒さえ私を見てくれれば。それに。私には真緒が全てだから。他の事なんてどうでも良いんだ。
「……ふふっ」
途端に周りの目がどうでも良くなった私は。真緒が私の水着を見たらどんな反応をするのかな? なんて考えながら水着に着替えた。因みに私が選んだ水着は。
白いワンピースタイプの水着だ。胸上と腰のフリルが可愛いやつである。
そして選ばなかったもう一つの水着は。黒のマイクロビキニだ。これは真緒が勝手に選んできたものだった。こんなの着れるワケ無かった。恥ずかしすぎるんだもん。
……でも。真緒の為なら。真緒の為だけになら着てあげなくもない。
だから。真緒に気付かれない様にこっそりとこの水着も買った。とは言え、この水着の出番は当分先になると思う。それこそ。そう言う関係になってからだと思う。
その時は楽しみにしていてね? 真緒?
と。それはそれとして。私が選んだ水着を真緒は喜んでくれるかな? 可愛いって言ってくれるかな?
「――か、可愛いぃぃぃぃぃぃッ!!」
「ッ!? ……あ、ありがと……」
真緒に声を掛けるなり、第一声がそれだった。頬が熱を持つのを感じながら、私はそれを誤魔化すように指で掻く。可愛いと言ってくれて嬉しいのは勿論だが。頬が熱くなったのにはもう一つワケがあった。そう。真緒の水着姿である。
真緒は黒いハイレグを着ていたのだ。チラリと覗く鼠径部がエッチだった。それに加え。ぴったりと張り付いたハイレグから、薄っすらと浮かび上がる腹筋の筋や。
ドンと付き出した胸の膨らみ。そのすべてが良かった。最高だった。
わたしと同じで露出は決して多くは無い。だけど。子供体形の私に比べて真緒はナイスバディをしている為に。逆に露出度の低さが真緒の身体を際立たせ、それでいて周りに媚びた感じがせず、目線を集める存在感があった。それに加えて、フェティシズムを感じられる要素も併せ持っており。さらには、スポーティーなカッコよさも兼ね備えている。
なんて。長々と解説したが。つまりはこうだ。
「……真緒も……凄く似合ってるよ?」
「ッ!? ……ありがとう」
真緒は腕を組んで顔を逸らすと。ぽつりと言葉を漏らす。長い黒髪をアップに纏めている為、真緒の耳とうなじがよく見えた。耳が少し赤くなっている様に感じる。
いや。照明の光が薄っすらと、耳を透けさせているから赤いんだ。きっと。
私の誉め言葉の所為では無い。だって真緒は。私と友達でいる以前に。堕とし愛っていう
だからこの恋心は。私だけが持っている一方通行の想いなんだ。片想いなんだ。
でもね? 真緒。私は絶対にアンタを地上に堕として見せるから。私だけの彦星になってもらうから。だから覚悟してよね?
さぁ――堕とし愛ましょう?
「真緒。手、繋ご?」
「えぇ」
手始めに私は真緒と手を繋ぐ。私の手の温もりを。私の手の感触を。私の存在を。
その身体に刻み込んであげる。一生忘れない様に。私が居ないと駄目になる様に。
これは自分の為でもあるのだ。真緒の手の温もりを。真緒の手の感触を。真緒の存在を。自分の身体に刻み込む。一生忘れない様に。真緒が居ないと駄目になる為に。
きっともう。私は。真緒が居ないと駄目なんだと思う。でもそれで良いんだ。それが良いんだ。だから。ねぇ? 一緒に何処までも堕ちようよ真緒。
ぐちゃぐちゃのドロドロに溶け合ってさ。一緒に堕ちようよ? ねぇ、真緒?
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