第20話
!!鬱注意警報!!
幼少期からずっと、腐れ縁の様に幼稚園から高校までずっと同じの幼馴染が。
家は隣り、クラスも同じ、出席番号も前後。
ある一種の運命とも取れる腐れ縁があった幼馴染だったが、アキラは密かに彼女に思いを寄せていた。
いつから思いを寄せていたかは思い出せないが、恐らく小学校の後期に入る頃には幼馴染へ向けられる感情が普通の”好き”ではないことが自覚できるようになった。
まあ、ラブコメによくある幼馴染恋というヤツである。
そんなテンプレ的な恋をしていた彼だったが、まだ当時のアキラは幼かったため稚拙なアプローチしか出来なかったのを覚えている。
所謂、好きな気持ちがすれ違って意地悪してしまうアレだ。
他にも遊びに誘ったりもしたがことごとく断られてしまった。
全く、当たり前の事なのだが、当時の彼は首を傾げたのだから面白いものである。
と、そんな幼少期を送った彼であったが、高校からは打って変わって彼女との関りはほとんどなくなっていた。
要は、彼も大人になったという事である。
このまま彼女にアタックしても一生届かない──。
そんな事に気づいたので、彼女との距離を置いたのだ。
結果、会話する頻度も少なくなり、いつの間にか全く話さなくなってしまった。
稀に授業の活動で口をきくことはあろうとも、それ以外で話すことはゼロ。
まあ、元からそこまで仲良くなかったのだから変わらないのが。
とまあ、そんな感じで世の青年諸君は甘酸っぱい青春を過ごす中、アキラは男子とつるみさながら男子校の如き学校生活を送っていたのである。
そして、学校を卒業し、成人となった頃、あの悪夢が起こった。
──ダンジョン出現に伴う首都崩壊。
後の世代ではその悪夢をそう呼称するらしい。
その日は、いつも通りコンビニのバイトをしていたアキラ。
変わらない灰色の東京の空。
変わらない常連の客。
変わらないタバコの棚。
本当に、いつも通りの日だった。
しかし、それは突如として起きた。
ド、ド……ド
そんな不気味な音が突然、地下から響いてきた。
いつも通りの地震か?
そう思い、構わず目の前に立つ客の会計を行っていた。
そして、次の瞬間、世界が割れた。
まあ、世界が割れたと錯覚するほどの衝撃だったと形容するのが正確なのだが。
首都中心部に黒い光の柱が出現。
天高く光の柱は伸びる。
次に鮮血の様な光の輪が次に出現し、柱を中心として円環を成した。
空は赤く染まり、地は漆が垂れたかのように……。
その光景はさながら地獄であった。
目の前に居た客は光柱の出現に伴う衝撃により吹き飛ばされ、そのままどこかにぶつかり肉塊となった。
彼は、直前に何故かはわからないが本能的にしゃがんだお陰でカウンターに守られ肉塊にならずに済んだ。
神様のいたずらなのか、それともただの偶然なのか、何故か彼は無傷だった。
そして、揺れが収まった頃、彼はコンビニから外に出た。
そこに広がる光景は、さながらとかいう形容的な物ではなく、本物の地獄であった。
瓦礫の山
所々横たわる死体。
一瞬にして破壊された日常。
そこには濃密な死の匂いが漂っていた。
むせかえるような血の香り。
当然そんなモノに耐性のなかったアキラは吐いた。
黄色い、何か気持ち悪いものを地に垂らし、考える。
(親父は?お袋は?)
家族の心配が胸の奥から湧き上がってくる。
そして、歩みだし、家に向かう。
まあ、結論から言うと親は無事だった。
アキラ同様、何か嫌な予感がして机の下に潜ったらしい。
結果、命は助かった模様。
しかし、彼の両親は無事だったが幼馴染の両親は無事ではなかったようだ。
「……」
無言で死んだ両親の亡骸を抱える幼馴染。
悲しいのか、悔しいのか、それとも理不尽への怒りか。
彼女の表情はそのいずれにも該当しないモノだった。
アキラは鈍感で、バカだったが彼女が何か、危ない空気を漂わせていることにはすぐに気づいた。
何故か、彼女を止めなければ、と思った。
そして、彼女に抱き着く。
「ゴメン……」
「……」
ごめんとは何に対してなのか。
全く、本当に不器用な男である。
しかし、彼女はその言葉を聞き、涙を流した。
「バカ……ずるいよ」
そう言って、少女は涙を流した。
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ちゃんと鬱注意警報は鳴らしましたからね!
気持ち悪くなったとかいう人は自己責任ですからね!
話は変わりますがまだ、レビューしてないよなんて人が居たら是非してくださるとありがたい。明日か明後日くらいには序章が完結しているハズ。
という訳で僕ににモチベーションを分けて下さると嬉しい。
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