第42話 運命の出会い!?
ここは王城の中庭
「シーザリオ様、出発の準備は整っております」
隊の責任者らしき男が私に声をかける。
リーズに視察に行く隊は50人程度の人数で、ほとんどが文官であった。
「では、私とメサイアは馬を走らせて先にリーズまで行きます。あなた達はのんびり馬車で来ると良いでしょう」
私はその男に言う。
「な、何を!?危険でございます!!」
男は慌てて言った。
「危険?どこに危険があるというのですか?私たち二人とあなた達と戦っても、余裕で私達が勝つと思います。あなた達のお守りなどしてはいられません!!」
「………ぐうっ!?」
男は苦い顔をして黙り込んでしまった。
「あなた達は自分達の心配でもしていなさい。では、リーズで待っています。行きますよ、メサイア!!」
「はい。シーザリオ様」
私とメサイアは勢いよく馬に飛び乗り、表門から飛び出して行く。
俺は今日もお客さんが来ない人生相談所を開設している。
いつもの様に『ぼぅ~』と道行く人達を眺めていると
「私は人生に悩んでいるの。アドバイスをくれないかしら?」
そう言って、見知らぬ美しい女性が金貨を一枚机に置いた。
その女性は20歳くらいで美しい黒髪で涼やかな顔をしている。第一印象は知的美人といった感じに見える。
「ありがとうございます」
俺は彼女を鑑定し、アドバイスを送ろうとしたのだが…。
「シーザリオ様!!」
「うわっ!?もう、見つかってしまったわ!!」
遠くから大きな声が聞こえたかと思ったら、彼女は慌てて立ち上がる。
「ごめんね。また来るから、お金は取っておいてちょうだい」
彼女はそう言って、声の聞こえてきた方向とは逆の方向へ走り出した。
「………何なんだ、あの人は…。シーザリオ、どこかで聞いたような気がするけど…」
俺は彼女が置いていった金貨を見つめながら呟いた。
彼女が去ってから、当然のようにお客さんは来ない。
「今日は半日で店じまいだ」
自虐的に呟いて宿へ帰る事にしたが、そこに修練を終えたアレグリアが現れた。
「調子はどう?」
「見ての通り、今日は店じまいだよ。でも…」
金貨を一枚、アレグリアに見せる。アレグリアは笑顔で自分の事の様に喜んでくれた。
「のんびりと家まで歩いて帰りましょう」
アレグリアの言葉に頷き、二人並んで宿までの道のりをのんびりと歩く。
しばらく歩くと、冒険者ギルド前の広場まで来た。何やら騒がしい。
「何かあったらしいね。見ていこうか?」
「そうね、少し気になるわね。行きましょう」
俺とアレグリアは人ごみをかき分け、騒ぎの原因を確認しに行く。やっとの事で広場の中心あたりまでたどり着くと、そこには先程相談に来てくれた美しい女性が立っていた。だが、その足元には一人の冒険者風の大男が倒れていた。そして、もう一人。女性の後ろで頭を抱えている騎士風の美しい女性がいる。さっき、女性の事を『シーザリオ様!!』と、呼んでいた女性だ。
「あっ!?」
俺は驚いて大きな声を出してしまった。
「知り合いなの?」
「いや、知り合いというか…今日のお客さんだよ」
アレグリアの質問に答えていると、騒動の中心にいる女性が大きな声を出して
「もう一度言う。私は王家筆頭魔術師のシーザリオ。腕に自信がある者は挑んできなさい。私は魔法を使わないであげるから、もしかして勝負になるかもしれないわよ」
ざわつく周辺。だが、名乗り出る者はいない。おそらく、倒れている男との戦いを目の当たりにして躊躇しているものと思われる。
「では、この剣も使わないでおきましょう。どうですか!!私は素手ですよ」
剣をしまい、拳を突き出して言った。
俺は彼女の行動に驚きながらも、強い興味を持ち鑑定をした。
シーザリオ 21歳 身長172㎝ 体重48㎏ B88 W62 H90 処女
戦闘 093/100 政治 007/100 内政 058/100
謀略 038/100 魔法 091/100 家事 021/100
料理 012/100 生産 031/100 農業 051/100
商業 031/100 建築 062/100 魅力 073/100
外交 043/100 交渉 063/100 信用 090/100
採掘 021/100 鍛冶 001/100 研究 055/100
狩猟 088/100 解体 070/100 性欲 065/100
いつもの様にほんの一部だ。まだまだ鑑定した情報はあるのだが…。
あと、戦闘を選択すると
戦闘 093/100 属性 水
剣術 C 槍術 F 刀術 D 斧術 F 棒術 E 弓術 D
詳細が出てくる。これもほんの一部だが…。
そして…魔法を選択
水SS 火F 風F 土F 光F 月F …
水魔法がSSランクで、後の属性は全てFランクだった。
「SSとは!?此れ如何に…」
言葉を失うほどの高い戦闘力と初めて見るSSランク。だが、政治力が低い。バリバリの武闘派の疑い有りという感じに見える。
(あと、何気に性欲が高いな…。意外だ…知的美人に見えるのに…。よし!!何も見ていない事にしておこう!!)
【シーザリオ視点】
(人生相談…か…)
私はリーズまで来て人生相談所と書いてある出店に立ち寄った。確かに今、自分の歩むべき道を思い悩んでいる…が、何か運命に引き寄せられるかのようにこの場所に来た感じがした。
しかし、人生相談をするには若すぎる少年がいる。
(…この少年、何か異質なものを感じる。ふふふっ、凄く可愛らしい少年だけど、今はそこじゃないわ。なんだろう…この異質な感じは…)
私はこの少年に興味を抱き、相談を聞いてもらいつつ、様子を探る事にしたのですが…。
「シーザリオ様!!」
上手く彼女を巻いて自由に街を散策しようとしていたのに、早くもメサイアに見つかってしまいました。
「ごめんね。また来るから、お金は取っておいてちょうだい」
そう言って、店を出てメサイアから逃げる。私だってたまには一人になりたいのよ。
「まったく…、か弱いお嬢様でもあるまいし…」
愚痴りながら逃げていると、冒険者ギルドの前にたどり着いた。
(ふふふっ、仕様が無いわね。いつもの様にストレス発散といきますか!!)
冒険者ギルド前の広場のど真ん中に立ち大声で
「私は王家筆頭魔術師のシーザリオ。腕に自信がある者は挑んできなさい」
と言った後、天に向かって派手な水魔法を一発、ぶちかましたのでした。
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