第4話「闇の力に染まった女の町」

「シャティにようこそぉ!」

ーーぅ''。

そんなに花びら舞い散らかれても…。

買わないから。

「どこかにお呼ばれですか?

このマリィリァなんていかがでしょう?」

 いえ。花を持って行く相手ではないので…。

「あら、残念だわぁ…。」


- - - - -

 お手紙をいただきました。リシャールです。

「…ぁ…メラァをお呼びします。ここでお待ち下さい。」

「お客さんが来たよ。」

「珍しいねぇ。」

「…ねぇ。」

「ね。」

「どこから来たのかなぁ?街の人かな?見てよ。あの美しい髪。」

「気になるねぇ。」

「何しにきたんだろうね?」

「ね。」

「ねぇ。」

「「ねぇねぇ、どこから来たの?」」

ーー子供は面倒くさいから嫌い。

 遠くだよ。

「何しに来たの?」

「ェルシュタイン来たの?」

「誰に会いに来たの?」

「僕は、ェルシュタインが好きだよ。でも、乗った事はないんだ…。」

「「ねぇ。教えて!!」」

「やめなさい。ライァン、ェイダン。」

「「チェエ。」」

ーー質問の嵐がやっと止んだ。

答える気はなかったけど。

「お待たせしました。…実は近頃、近隣の村々から人拐いが出るのです。

あまりに人拐いが捕まらないので、お怒りになられたラファィル様やガブィル様がおつかいになられたと噂になっているのです。

 なるほど。確かに信仰心恐いですね。

ーーどこも変わらない。

「ですが、この土地のイグニス様はお留守で…。フラレンス様お1人でこの土地を取り仕切っておられるのです。

ですから、手が回らず…お願いです。

おそらくこの町も狙われます!

私はオォフェンとしても個人としてもフラレンス様の負担を減らして差し上げたい!

お願いします。

…コレで。1人の30ィティナあります。残りは、人拐いが捕まったらお渡します。」

 これで充分ですよ。では、私は失礼します。

「アノお客さん帰って行くよ。」

「帰ってちゃうねぇ。」

「「つまんなぁい。」」

ーー来た時間が早過ぎた…。

人拐いは夜出るらしい。

どこかで暗くなるのを待とう…。

縦巻き貝状の町うろうろ。


「ヴォン・ジュウ!アシユェンさん、ヘェゼルさん!」

「「ヴォン・ジュウ!ノヴェルさん」

「この前アソコのモンフェルが……。」

「まぁ!ソンナ事があったの!?」

「ねぇねぇ、もうすぐリィリァのブロシェルがブロリィヌになるらしいわよ!」

「リィリァのブロシェルってアノ、マリィリァを売ってる?」

「そう、そう!」

「なんでも、どこもブロリィヌが狙われるそうよ。ガブィル様から仕かわされた者が森に住みついているらしいわ。」

「そうなの!?恐いわねぇ!」

「リィリアのブロシェル大丈夫かしら?」

「「心配ねぇ…。」」

ーー花売りの娘が狙われそう。

何日も待つつもりだったけど、すぐ事が起こりそう。

助かった。


「おまえとは、もうあそばない!」

 バチン

 ゲシ

いたい。

いたいよ。

「うっうぇ。どうしてダメなの?」

「おまえはボクらとおなじじゃない。」

おなじじゃない どこが?

どうして、そんなコトいうの?

 お前達、そこで何をしている。

「「「「ヒッ!!」」」」

 邪魔だ。退け。

ビ、ビビックリしたぁぁぁああ‼︎

今の人初めて見た…。


ーー夜まで長かったぁ。

あれ、花売りの娘じゃない?

店を片付けてる。

と、思ったら背後から人が‼︎

「キャヴッ!」

必死に抵抗しているけど、あっと言う前に拐われてった。

ーーーん?

城の方?

追いかけたら城しかなかった。

ありがたい事に人気はなく。

城の塀を越えると隠れる所もたくさんあった。

納家⁇

ーー何か吊されて、何かが滴ってる。

ぁ''この視界の歪む感じ。

花売りの娘⁇

!!

後ろから袋を被された。


ーー袋を外されるとこちらをまじまじと眺めてる女がいた。

ここの城の奴が人拐いなのは、間違いないけど…。

この女かな⁇

あぁ''まだ視界が歪む…。

 花売りの女が首を斬られて吊されていましたが、何かご存じですか?

「そりゃあ、ブロリタァジェが必要だからよ。

いけない?」

ーー人拐いは、この女。

それより、ブロ?なんて

 ぇ…ブロ?

「もぉうッ!清らかな乙女の血よ!!」

ーーえ、処女の血の事⁇

さては、こいつ魔術師か。

 何故、それが必要なんですか?

「美しさを保つ為には必要なの。」

 私の事はどうしますか?口封じに殺しますか?

ーー女はにたっと笑い、舐める様にこっちを見た。

まだ勝てると思ってるらしい。

世間知らずめ。

「貴方の使い道はもう決まっているわ。」

 使い道?

「わたくしのおもちゃになるのよ!!」

ーwwwwwー

「ど、どうして掛からないの?!」

ーーざんね〜ん。

掛かりませ〜ん。

さぁ、眼を魅ろ。

*:*

ーさぁ、お話を始めるよぉ!

ある女の子のお話だよぉ!

いつか羽ばたく蝶なれる事を信じて。

いつか大切にしてくれる人が現れるのを信じて。ー

「アレをやりなさい。」

「コレをやりなさい。」

「コウしなさい。」

「アァしなさい。」

「ェッチュウドの時間よ。」

「プラティイティの時間よ。」

イイィィィィィヤァァァァァァアア!!!

望んでいない人とのマリァジァ…。

あんなに頑張ったのに、イグニスは他所の人に熱を上げてる。

「アレもできないのか!」

「コレもできないのか!」

「大した美しさも持っていないクセに!」

「フラレンスはどうあるべきかわかっていない!」

イイィィィィィヤァァァァァァアア!!!

待って何故この気持ちを知ってるの?

こ、これは過去に起きた辛い経験。

悪夢になってわたくしの心を蝕もうとしてる。

何故?

何故なの‼︎

こんな気持ちもうイヤだわ!

どうしてこんな事するの⁈

 何故って観てて楽しいから。

『い・け・な・い?』


ーー身体は生き人形に精神は悪夢へご案な〜い。

でも、人拐いがまさか領主の妻だとは…。

町長には言えないから、森に住みついてた奴に暗示を掛けてした事にしといた。

任務完了。

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