第2話 三毛蔵:そんなにお札をはがして欲しいんですか?ほらほらほらほら!

 ここは五行山。

 孫悟空が猫仏様に山の下敷きにされてから、500年が経った。

 山の下の隙間から、いつか出てやろうと思っているが、それも通りかかった観恩猫様によれば三蔵法師頼みというから情けない。


 そして肝心な三毛蔵はと言うと……観恩猫様に聞いて、孫悟空を弟子にするべく五行山に立ち寄っているところであった。

「へぇ! これが妖怪ですか。初めて見ました!」

 感嘆し、簡単な感想を述べる三毛蔵。

 好奇心旺盛に容赦なく悟空を見てくる。

「見世物小屋じゃないんだぞ! この、三毛蔵め!」

「へぇ、そんな口をきいていると、私は無視していってしまいます。ほらほらほらほら!」

 くっとなって悟空、下に出ることを考える。プライドを捨て、拳を解いて手を合わせて懇願する。

「お願いします。三毛蔵様! お札をはがして下さい!」

 ふふふ、と猫目になって三毛蔵は、剥がそうとお札にちょんと手で触る。

「そんなにお札をはがして欲しいんですか? ほらほらほらほら!」

 ちょいちょいちょいちょいちょいちょい。

 ぴろぴろぴろぴろぴろぴろとお札の下のはがれた部分が揺れるだけだった。

「あーくそてめぇ! この封印が解けたら見てろよ!! 絶対許さねぇ!!」

「ふふふ、やはり封印されては手も足も出ませんね」

 どこか得意げに、三毛蔵は鼻息をふすーっとたてた。

 しかし突如、悟空の目が見開き、後ろを指さして慌てふためいている。

「後ろー!! 三毛蔵、後ろぉぉおおおおお!!!」

「?」

 慌てている悟空に首を傾げ、三蔵は指さされた後ろを見た。

 ぱっくりと頭から虎の鬼に食われてしまう。


          ち~ん


 南無三。三毛蔵はお亡くなりになってしまった。

「あぁ! 俺の封印脱出がが泡の彼方だ……!」

 悟空は膝をついて、自身が脱出できないことを嘆くのであった。

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