㉕粉末昆布-4-







「粉末昆布・・・単なる調味料としてではなく、美容の粉として主に女に売れているような気がするのは気のせいか?」


「気のせいではありませんよ」


 何せ、母上の化粧が薄いものになりましたからね~


 紗雪が住んでいた日本であれば普通に売っている粉末昆布は『魚を使わないで出汁を作るなんて人間の癖にやるわね』という感じの嫌味を零しながらも、森の奥に住む自分達には縁のない海を感じさせるからなのか、新しい調味料としてエルフ達が購入していくのだが、粉末昆布の購入比率はエルフよりも人間の、特に女性の方が高い。


 何せ便秘の影響で肌荒れにも悩まされていたロスワイゼの肌が綺麗になったのだ。


 綺麗になった肌を隠すのが惜しいのか、今のロスワイゼは若い娘のように薄化粧である。


 当然、ロスワイゼと同じ悩みを抱えている高位貴族の夫人達が彼女の変化に気付かないはずがない。


「母上がご夫人方に売り込んでいるという事もありますが、何と言っても母上自身が粉末昆布の効果を示しているのです」


 美容に気を遣う女性に売れて当然ですよ


「・・・だろうな」







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 数ヶ月後


 シュルツベルクでは紗雪が商業ギルドに登録した粉末昆布を生産する事業を立ち上げる事となる。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る