①聖女召喚に巻き込まれた女は追放される-2-
「「サユキ様!」」
大広間から出て行く紗雪を追いかけてきたのは、彼女と共に邪神討伐に参加した王国騎士の一人であるラルクと精霊使いのカーラ。
「邪神・サマエルを倒したのは奴を前に粗相をしてしまったエドワード、様とギルバード、様と阿婆擦れ・・・マリカ様ではなくサユキ様です!それに道中で私達がひもじい思いをせずに済んだのも、サユキ様の料理の腕のおかげなのです!」
「我等が真実を両陛下に打ち明けます!ですから・・・サユキ様。どうか、ウィスティリア王国人になって下さい!!」
紗雪の霊力と、従えている精霊(式神)の力が自分を含む精霊使いなど足元に及ばない事を肌で感じ取っているカーラは、彼女にウィスティリア王国の貴族と結婚して欲しいとまで懇願する。
「私から故郷を奪った癖に?自分達で解決しなければならない問題を、故郷で九尾一族を倒したばかりで瀕死の重傷を負っていた
((!!?))
ラルクとカーラにそう言った紗雪の声は冷淡で何の感情も籠っていない。
だからなのかも知れない。
紗雪の内なる怒りを感じ取っているラルクとカーラは恐怖で身体を震わせる。
あっ・・・
「そうだ。王太子殿下とギルバード殿は、道中で二人が聖女と認定した近藤さん・・・貴方達の言い方だとマリカさんね。彼女と夜の運動に励んでいた事はラルク殿とカーラ殿は知っているわよね?」
紗雪の言葉に二人は頷く。
「王太子殿下とギルバード殿・・・彼女から梅毒を
「「なっ!?」」
エドワードとギルバードが性病に罹ってしまったという事実に二人は声を上げて驚く。
「この事を王太子殿下とギルバード殿本人には言わずに二人の婚約者に伝えておいてね」
紗雪はウィスティリア王国に対して良い印象を抱いていない。
当然だ。
何の関係もない自分を邪神討伐に巻き込んだのだから──・・・。
しかし、エドワードとギルバードの婚約者である公爵令嬢のシーラと伯爵令嬢のオリビアとは、僅かな間だったとはいえ付き合いがあった。
彼女達の婚約者が梅毒に感染したという事実を伝える事で、シーラとオリビアに対する義理は果たしただろう。
「さようなら」
(多種族国家のキルシュブリューテ王国を目指しつつ、元の世界に戻る方法を探そうかしら・・・?)
ラルクとカーラに素っ気なく言い放った紗雪はウィスティリア王国を出て行く。
※本文には書いていませんが、紗雪が従えている精霊こと式神は前鬼と後鬼、四方守護神。龍神祝詞を唱えたら龍神も召喚出来ます。
男子であるが故に羽衣の力を使えなかった先祖が封印していた九尾狐を完全消滅させているし、泰山府君の祭で死者を生き返らせる事も出来る霊力の持ち主です。
それでも、開祖である
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