アイスクイッド

どうぞゆっくりしていってください。きっとお探しの物が見つかりますよ。


それにしても今日は暑いですね。缶ジュースでよければいかがですか?


どうぞ。


冷えていておいしいでしょう。


ジュースもつかんでいた、この生き物について知りたいのですか?


これも私の発明品のひとつですよ。

その名も『アイスクイッド』


ええ、イカです。見たまんまの。ちょっと大きいですかね。枕くらいの大きさはあります。


アイスクイッドは簡単に言えば、生きた冷蔵庫ですよ。


この子の触手は摂氏4度ほどです。触手に缶ジュースを巻きつけて冷やしておくことで、野外でも冷えたジュースを飲むことができますよ。

ええ、ビールなんて最高ですよ。ああ、この子は捌いても食べられないのでご注意を。


それに、この子は簡単な日本語なら理解できます。缶ジュースを飲みたいときに、この子に一言声をかければいい。

歩いて自分のところに持ってきてくれます。献身的な姿はとても愛らしいですよ。


ん? そうです! 察しがいい、なぜ発明にイカにしたのかということですよね。

足が10本あるからです。ええ、10本の飲み物を一度に冷やせる。その部分に目を付けました。


家族全員分問題なくまとめて冷やせます。今の時代なら2家族分もいけそうですね。


はい。もちろん。暑さに耐性もあります。普通の気温ならまず問題ありません。


真夏の暑さはさすがに耐えられませんが、まあ、その時はクーラーボックスにでも入れてあげればいいでしょう。


それじゃ意味ないって? たしかに............

まあ、真夏の野外に持ち歩かなければいいんです。真夏に外なんて人間でも嫌でしょう?


そもそもこの子をどう持ち歩くのかって?

ちょっとした距離なら勝手に運んでくれますよ。


キャンプの時とかですか?

そーですね。クーラーボックスに__

はい。それじゃ意味ないですね。ええ、荷物が増えただけだ。


あまり考えていなかったですね。どーしよう。


じゃあこんなのはどうですか?

頭の上にのっけて、移動するんですよ。ちょっと重いかもですが。

イカのキャップをしているみたいになる?

おはスタのガレッジセールみたいで可愛らしいじゃないですか?

えっ、何それって?

カワゲッソー知りませんか? そうですか......


どうでしょう? ご検討は__

しない。ああ、今日はもうお帰りですか。わかりました。

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