第5話 王都陥落

 聖女達の、自らの命を少年に捧げるといった請願が通った。自分達の生死は、少年の命に掛かっており、もし失われることがあれば、直ちに殉死すると言った脅迫めいた要求が領主や教会に通った。


 そこで領主や教会関係者は、自分達の華美な服装を恥じた。


 信徒達は藁で編んだようなガッサガサの服や上着を着込んで、内張りに綿でも貼ってあるのか、僅かな糸で縫ってあるのか、アーミッシュの団体よりも貧しい恰好をして、聖女二人は法衣のような物を着ているが、裾のほつれや破れを誇るかのような、真っ黒で汚れが目立たない格好をしていた。


 映画「ブラザーサンシスタームーン」に出て来る、アイルトンセナそっくりの主役が、ローマ教皇の前に引き出されて、金ぴかの服装で法衣を見て、不敬にも「鳥は何も植えず耕さず、されど神は彼らを生かさん」と泣き出して放り出されても、サー・アレックギネス演じる法王が白目剥いて上を指差すと、イエスキリストのステンドグラスがあって、信徒や会派が呼び戻されて謝罪されたように、皆が豪華で華美な下位の者を威圧するための服装を恥じた。


 教会関係者も金糸銀糸に塗れた上着を脱ぎ始め、バカみたいに高い帽子を脱ぎ棄て、宝珠や金銀財宝に塗れた指輪やネックレスを外して、聖女が所属する会派に寄付をして、天に積み上げる財産とした。


 この部屋の中でも世界が反転を始めていて、清貧や貧しさが尊ばれ、神の声が聞こえる(幻聴、妄想)連中が共に聖歌を歌って涙していた。


 まるで千石イエスさんを見付けた新聞週刊誌テレビなどのメディアが、メディアスクラムを組んで、詐欺師でカルト宗教で女性の信徒を沢山抱えて、夜の街で働かせて性奴隷として扱っている人物を糾弾しようとすると、調べれば調べるほど真面目な人物で、本当に聖書を読んで研究していて、女性の信徒も働けない者の為に夜の街で働いて、天に積み上げる財産として寄付し、支え合って生きていた。


 信徒の両親も、娘はカルト教団に騙されて性奴隷として扱われているんだと妄想を膨らませて、千石イエスなる人物から娘を救い出そうとすると、自分達の方が世俗的で穢れた思想に捕らわれていて、カルト教団の主催者の方が正しくて「聖書を読む会」なる会派が正常に機能していて、夕食後などに会合を開いて聖書を読んで研究、世間では救われなかった人物たちが救済を求めていて、千石イエスを「おっちゃん」などと親し気に呼んでいる信徒が、おっちゃんから引き離されるのを断固拒否して、社会問題になったのと同じく、聖書を読む会は一旦解散させられたが、離合集散して再び救いを求める人物が集まった。



 もう領主も教会も聖女達を吊るし上げるのを早々に断念。王家に進言して「アイツらヤバすぎます、早めに軍門に下った方が……」と言うつもりで、自分達も降伏する許可を貰うつもり。


 次には亜人解放戦線と連絡を取って降伏するのと、王家にも無血開城を進言するつもり。


 エルフの里やドワーフの村、獣人の村々などでも武装蜂起を始めていて、ドワーフガンガンに鉄の武器生産して装甲度をアゲアゲ。


 精霊まで目付きがおかしくなって、エルフとオトモダチなので仲間を開放して行って、血の気が少ないはずのエルフまで戦闘集団に。


 ダンジョン都市の周囲の人間の村々でも「神の剣」を振るう聖騎士団なる物が集結していて、日ごとに増えていて、その数は膨大になり始め、宗教の信者の集団なので、最初っから王家や王国に忠誠心なんか無い。



 少年は前世で読んだ「月は無慈悲な夜の女王」で、革命組織は3名の細胞で構成されて、例え捕まって拷問されても、3名以上は知り得ないので、組織は壊滅しないのでそうしていた。


 少年本人も、亜人解放戦線が現在何名で構成されているのか知らない。


 こっちも転がるような勢いで回転しはじめて、もう誰にも止められない。


 既に獣人の中では「救世主様が下生なされた」と噂されていて、エルフでも伝承に歌われた「地下世界との調和を成すもの」「魔族とも手を取って語り合える預言者」が下生されたのだと信じられていて、自分達の里からも穢れた存在を地下世界へと供出して、少年の手柄として、愚かな一切衆生で迷える子羊を導いて頂くのだと勘違いしていた。


『その愛を見たか~? その御心を感じたか~? 見よその姿~、全ての者達を導く御手~』


 次第に同じメロディーラインで、エルフ語ドワーフ語ホビット語で、似たような内容の歌詞が歌われ始め、救世主の誕生を祝っていた。


 そんな事が起こり始めているとは知らない地下世界。こちらも知った後では手遅れで「あ? これアカン奴や」と思い知らされる。


 忠実な蟻の使用人で、精勤だと褒められても「はあ……」ぐらいしか言わないボケた少年が、国盗りや国崩しの野望なんか持ってないのに、周囲全員が勘違いしたり、基地の外に駐屯してるとは思わないので、魔族や地下世界までを纏め上げて、統一する人物が出たとは思っていない。


 ご本人様、ギルドや冒険者や受付嬢を、残虐に処刑出来て喜んでいるだけで、世界を救おうなんてこれぽっちも考えていない。


 でも、周囲の人間獣人エルフドワーフがそう思っているので、そういった機能で機械が作動してしまったように、勝手に動き出して転げ落ちて行って、脚本に書かれた通りに世界が動作する。



 エルフの隠れ里


 既に獣人エルフドワーフは、奴隷から解放されて故郷に一旦帰ったとしても、故郷の者に救世主生誕を説いて回り、後に十二使徒と呼ばれる者達は、預言者(メシア)の下生を知人を通じて説法して回った。


「儂は見た、手が無い足が無い者が、聖女によって新たなる手足を与えられて再び立ち上がるのを。新たな目を与えられ、再び物が見えるようになって喜びの声を上げるのを」


 周囲から光の賢者と呼ばれる、光属性を持つ治療魔法を使えるロリババアでも、パーフェクトヒールまでは使えない。


 聖女達はリッチから、成長倍加の魔道具を複数貸し与えられているので、普通人の数倍のスピードで成長する。


 全世界規模でも、パーフェクトヒールを唱えることができるのは100人もいない。魔力が強いとされる王族貴族の中にもおらず、伝説の魔竜や聖獣が大半を占める。


 穢れた愚かな人間亜人世界には通常出現しない。


 このロリババアも、フリーレンみたいに千年近く生きているが、栄養が体に行き渡っておらず、ちっこいのでロリと間違われて誘拐され、ほうれい線で合法ロリとバレて、800年ぐらい生きてる八百比丘尼なので売られなかった。


「おお、おばば様が見て来られたなら事実。大聖女様の誕生じゃ」


「ありがたや、ありがたや」


 このババアも,風の谷のババアみたいな喋り方をするので「おお、王蟲の友愛が満ちておる、子供達、めしいだ儂の目の代わりに見ておくれ」ぐらい、急遽ババアのモノマネしないといけないぐらいのババア。


「事件はそれだけではないのじゃ、聖女様達が敬愛する、救世主とも呼ぶ方がおられた。儂もご面会を依頼して待ったが、既に多くの奇跡を起こされていた」


「何と、救世主?」


「先程の聖女様にも力を分け与えられ、従者で家臣である獣人やエルフにも力を分け与えられておられた」


 レベル上げの事と思われるが、暗愚な宗教の中で、レベルやジョブの事も知らず、妄想や想像程度で物事を判断している。


 その上、このロリババアがインフルエンサーなので、主婦間の噂話やら、光よりも早いと言われる女の噂話の出所はこのババアである。


 ちょっとこじらすと、反ワクチンだとか、5Gは殺人光線だとか、怪しいデムパをゆんゆんさせるので、主婦向けの情報番組ぐらい怪しい。


 BPOが介入しないと、テレビ時代になっても「○○は体にいい」「薬はお茶で飲んだらダメ」程度の、暗愚すぎる馬鹿話を開始してしまい、それが事実なんだと噂してしまう。


 スーパーの棚から納豆が売れすぎて、不老長寿の霊薬だと、霊験あらたかなんだと売り切れてしまう。



 獣人の里


「救世主(メシア)が下生された」


 預言者(ダークシュナイダー)の生誕を告げて回る、カ・ルスだか誰かみたいな奴が、失明はしてないが、ヤバすぎる狂信者の目で、ゆんゆんデムパ発射していた。


 そんな奴の言うこと信じるはずがないのに、街中で「神は舞い降りました」とかホザいて、自分の写真張り付けて自分が神だと言い出すぐらいの、統合失調症で自己愛性人格障害患者が言ってることなのだが、獣人世界でも世界の仕組みが反転しているので通った。


 王都であろうがどこであろうが、膨大な寄付金を利用して、乱波(ラッパ)素波(スッパ)と呼ばれる忍者モドキの工作員が放たれ、牛が産んだ子と一緒に天からの護符が出たんだとか「少年は救世主、ペクト山に降り立った神人、少年を王に」などと神聖化作業が開始されていた。


 各地で終末思想がサンキューセットで振り撒かれ、「ええじゃないか」運動のような集団ヒステリーも自然発生的に起こり始め、重税に苦しむ人は田畑を捨てて逃散してしまい、お伊勢参りのような宗教行事も行われ、田畑を捨てて逃げだしても流浪人として扱われず、捕らえられて労役を課されることも無かった。



 数週間後


 領主家には聖女から声掛けして貰って、亜人解放戦線が集まっていた。


 既に交渉ではなく、降伏勧告である。


 戦力比はもう比べ物にならず、王都もダンジョン都市も「神の軍団」が包囲していて、一向一揆の集団に包囲されているのと同じで、全員が笑顔で死ぬ死兵。


 世界の成り立ちで構成を正しいものに切り替えようと、王政貴族制のような「世襲の公務員」を廃止して、従わなければ絞首台か断頭台。


 既にカクメイの萌芽は芽生えちゃっていて、遼遠の火のように燃え広がっていた。


 名称の方も、反乱組織とかテログループではないので、ハッテン的解消をして「正しき目覚めた者の集まり」だとか、宗教臭い名前に切り替わっていた。


「え~、それでは亜人解放戦線の皆様もお集りのようですので、これを第一回交渉の場とさせて頂きます。そちらの代表である「蟻の使用人」の少年がいらっしゃらないようなのですが……」


『ガオオオオオオウウウッ! この場に「神」は降臨せぬっ! ダンジョン都市攻略を任されている我どころか、王都攻略を目指している将軍ですら面会は叶わぬのだっ! 神人と面会できるのは聖女と各種族の代表のみっ、お前ら如きが「神」と会えるなどと思うなああああっ!』


 獣人の将軍に火を噴かれて、まず一発かまされてしまった領主。もう聖女を裁くだとか、蟻の使用人の少年を処刑できるような立場ではなく、降伏か死か、イエスかノーか、シンガポール要塞が降伏した時ぐらい立場が変わっていた。


 既に獣人の中では蟻の使用人、などと呼称するのは禁止されていて「神」か「神人」「救世主」。


 宗教的に仏に付随している童子が下生しているのか、弥勒が56億8千万年先の彼岸から未来仏(転生すれば仏となる者)として下生している扱いなので神。


 獣人達もレベルアゲアゲで「多種族言語理解」のスキルも修得しているので人語を理解しているが、人間の領主家程度のゴミでは、獣人語も多種族の言語は理解できない。


 数週間前までは、獣人など被差別民族で、人類には到底敵わない小規模集団だったはずが、エルフドワーフの敵同士までが肩を並べて人類に反旗を翻して、亜人如きが数も多い人類に歯向かえるはずもなかった。


 魔法が使える王族貴族が支配して、その下に魔法も使えない一般市民、さらにその下に三等市民以下の亜人がいたが、全て覆ってしまいまだ対応できる者がいない。


 最終的には長命で頭も良い魔族が全てを支配して、竜族も巨人も精霊も支配して、その下の最下層に人類が来る予定だが、まだ数が少なく版図も狭い。


 その前に「全ての種族を糾合して手を取り合う者」が出現してしまったので神。


 領主も「あ? これあかん奴や」と理解したので降伏した。



 クランハウス


「若、喜ばしいお知らせです、王都を取ってまいりました」


「ハ?」


 エルフの長が何か言って来たが、イミワカンナイ。


「王都を開放して参りました。王家も降伏し、付き従う城砦も全て降伏。各領地の貴族共は、徹底抗戦を歌っておりますが、じき陥落するでしょう」


「エ?」


 俺の所の兵力は、そこまで膨大じゃない。コイツラをレベル上げしたが、王都を陥落させるほどの兵量は持ってない。


 ドズル中将ではないが「戦争は数だぜ、兄貴」なのだ、駐留して占領状態を維持するのに、余りにも少なすぎる。


「既に我らの兵数は百万を号し、エルフの里、獣人の村々、ドワーフの里、ホビットの村、ダンジョン都市と周囲の村、そして何より、地下世界よりの援軍があり、王都は陥落したのでございます」


「あ~~」


 烏合の衆の亜人解放戦線に、地下から戦闘蟻の援軍が一杯来て、王都第一騎士団でも蹴散らしたんだろう。


 中国の軍隊と一緒で、数が多い方が相手がビビって降伏するから、輜重部隊でも渡河の工兵でも何でも兵数に入れて、更に数倍いるんだと嘘ついて増やすのが常套手段。


 コリア地下世界の上司、リッチのオジサンに報連相案件だろうか?



 お手紙は書いてみたが、何と即日向こうから会いに来た。


「え~~、亜人解放戦線の連中から「王都を開放した」と連絡があったんですが、そんなに沢山援軍を送って頂いたんでしょうか?」


「エ?」


 向こうもイミワカンナイようで、開いた口が塞がらないぐらいの顔された。


「聞いておらんのか?」


「ハア……」


「お前は獣人の村々で言われる救世主で、エルフの里で歌われる「地下世界との調和を齎す者」で「魔族とも手を取り合って世界を糾合する者」で、人間世界の聖女が言う「全ての者の罪を背負って神の国に帰る聖者」だそうだ」


「エ?」


 その後も「陽性です」「妖精なんですか?」ぐらい話がかみ合わなかったが、何とか整合性が取れた。


 どうやら「聖書を読む修道女の会」に膨大過ぎる寄付金が集まって、最初は冒険者などのゴロツキを雇っていたはずが、神の剣を振るう聖騎士団が編成されてしまい、各村々を護る防壁が出来始めて、国家騎士団なんぞ全く役に立たないどころか邪魔。


 自分達を迫害して税金を徴収して、労役に取られる人数も多すぎて、貴族などが私腹を肥やすために使われ、その上でヤクザが来て、何かと理由を着けてみかじめ料を取っていく。


 そんな事をしないでも「聖書を読む修道女の会」だとか「神の子の愛の修道士会」なら寄付金を支払らわないでも、治療活動はしてくれるわ、貧しい者の為に炊き出しまでしてくれるわ、村を魔獣の脅威から守って貰えるわ、明らかに世界の仕組みが変わって行ったそう。


 周囲の村々は王家に反旗を翻し、反政府活動が公然と行われるようになって、ベトナム戦争並みに村全部がべトコンの支配下。


 いつの間にかホーチミンルートみたいな補給線が作られていて、大商人なんかも大聖女の支配下。村々で蜂起して反政府勢力が立ち上がり、代官を追放するか処刑。


 宗教的統一感が出て、亜人解放戦線とも集合して、数百万を号する軍隊が出来てしまい、王家とか王都なんぞハナクソでゴミクズ。


 ダンジョン都市の領主家も、王国に早めに降伏したら王家全員絞首台やら断頭台に上げられなくて済む、と進言したらしく、戦わずして降伏したらしい。



「ナニソレ怖い……」


 俺が与り知らない所でカクメイ政府なんか立ち上がちゃっていて、亜人解放戦線と合流して独り歩きを開始してしまっていた。


 奴らの名称も変わっていて「正しき目覚めし者の集まり」。


 変身物のダークヒーローだったはずが、ナンタラ戦記的な群像劇で群雄割拠物に変更。


 多分水滸伝的な将軍とか武将が集まっちゃって、俺が知らない所で勝手に巨大化してる。


 無能な女に無い事無い事言いふらされて陥れられるのが嫌で、頭いいの選んだはずが、あいつらどれだけ有能なんだよ。


 亜人の方も、奴隷解放して仲間を救い出させていただけなのに、何で王都が解放されてるんだ?


「今日も、ウチのダンジョン、お前の所の組織に降伏するかどうか相談に来たんだが?」


「エッ?」


 やっぱりイミワカンナイ。


 待て待て、この人は俺の上司で、今も首の後ろに虫を植え付けていて、反抗心など持とう物なら、即座に脳を食われて終了なはずだ。


「イエ、リッチさんと言えば恩人で、地下から救い出してくれた人で、俺の上司で背中にも虫入ってるはずなんですが?」


「うん、お前ならそう言うと思った」


 でも、聖女本人が泣きながら俺の解放を依頼して来て、マジ号泣したので、ヴァンパイアに出世させた時に虫の支配から解放されていて、個人の裁量で抱卵器を入庫させた方が成績も良かったのでそうしていたと教えられた。


「そ、そうでしたか」


 とりあえず、王都が支配下に入った様なので、あちらからも抱卵器を供出させて、やくざ者とかチンピラとかゴミクズを地下に搬入することになって、向こうの担当者を紹介して貰う事になった。



 向こうでも緊急事態だったらしく、担当者のリッチがこちらに即日転移して来た。


 どうやら「新入社員の馬鹿がまたヤラカシやがった~~、今から緊急会議」らしい。


「え~と、配下の亜人解放戦線から、そちらの上にある、王都を開放したんだと報連相がありまして、今後の抱卵器の供出計画を立てたいと思いまして」


「フェッ?」


 王都の地下にあるダンジョンでも、俺の配下に入れと降伏勧告をされると思い込んでいて、文書をまとめて来たそうだが全部オジャン。


「な? ウチの若いのなんだが、見たか?この欲の無さ。百万人も軍勢いれば、ダンジョンでも蟻の巣でもただでは済まんのに、未だに蟻の使用人のつもりでおる」


 え? 何それ怖い。どうやら狂信者の集団百万人がいれば、聖歌など歌いながら地下に降りて行って、自爆蟻でもラスボスでも数の暴力で始末出来て、女王蟻でも卵も全部焼却処理できて、不死のリッチや不死王だけが、アーヤで礼宮様新女王と共にみなしごハッチで逃げて行くそう。


 まあ、とりあえずゴミクズ全員地下に搬入することにして、周囲の山賊とか窃盗団とかも搬入、街中のヤクザ者半グレ、阿片中毒患者、阿片販売業者、奴隷販売業者も全部搬入。


 そう取り決めをして、王都の下に住んでる地下世界との第一回交渉終了。



 茶話会


 やたら有能すぎる聖女達が訪ねて来た。いつも通りキャッキャウフフのオネショタの会合で、向こうはikぐらいの姉ちゃん、こっちは小学生ぐらいで、最近は距離縮まってきて「ア~~ン」ぐらいはして間接キス。


 目の下にやたら力が入った怖い目付きで、森のクマさんが引っ越して来て常駐。口と頬だけが笑っている「目がやばたにえん」ぐらい怖い顔。


「本日は、貴方様の御胤を頂戴しに参りました」


「エ?」


 やっぱりイミワカンナイ。


「貴方様は全ての穢れた者達の罪を一身に背負われて、神の国へと帰られるお方。エルフの伝承に歌われる内容では『神の子が来訪したり~、その者は一切衆生の罪を背負い旅立つ者なり~』と歌われておりますので、下生から千日程度で神の国に戻られるそうですので、その前に「忘れ形見」を頂戴したいと考えております」


 レベル上げで多種族言語理解のスキルも取って、エルフ語の歌を歌えるレベルに。


 内容の方はさらに狂っていて、俺が神の子なのは決定事項。俺って後三年以内に死ぬの?


「エルフの国の方では、エルフの巫女が「運命の王子」が産んで生誕するそうですので、そちらは『両目の光は失われているが~、恐れることはない~、見た目に関係なく、全ての種族を纏め上げる者なり~』と歌われており、貴方様のお子が全種族と地下世界と魔族をも導いて行くのには変わりはないのですが、私共の宗派「聖書を読む修道女会」と「神の子の愛の修道士会」を導いていく神の子を頂戴したいと思っております」


 ちょくちょくエルフ語で歌い始めるので「ミュージカルかよっ」と突っ込みたくなるが、伝承の歌とか聖書で読みやがったのか、規定事項で事実なんだと思い込んでるのが怖い。


 それも恋愛関係なく子ども作って、セキニン取れとも言わないで、子供は信者に託して自分達は俺と殉死して旅立つ気マンマン。


 神の国に帰るのだから、恐怖心一切無し。それどころか静謐で清潔な世界に帰れるので、この穢れた現世からも旅立つ気もマンマン。


「丁度男の子と女の子を授かるそうですので、ご安心ください。わたくしとしては「今日が大丈夫な日」だと思っておりますので、御胤を頂戴して行こうかと」


 あ~~、聖女なのに処女とか無くしても平気なんだ、姦淫の禁止とか性愛の禁止なんかの戒律完全無視。聖書に書かれていることが全部規定事項らしく、周囲にいる修道女も笑顔で聞いてる。


 預言書に書かれている通り、修道女と修道士の子供が出来るそう。聖女のガタイからすると、骨格からしてモンゴル相撲の力士ぐらいスゲエ男か女が出来て、女でも室伏アニキぐらいのケツアゴの奴が産まれそう。


 今日はゴッツイ方とパッコパッコやらかして、ネギみたいな細い方は後日。最初見た時は食い物が悪かったのか痩せていたはずだが、今では栄養が行き渡っていて、子供産むために太っているのかデブいアンコ型。


 乳回り1メートル級で、腹回りフトモモ回り90センチ越え、ケツ回り1メートル20ぐらいの不沈空母と対戦させられるらしい。


 女の大丈夫な日は男の危険日、ATM奴隷にされて、他の男でオラオラ系DV男の子供托卵されるよりはマシかも知れないが、これから妊娠前提のパワーセックスをされる。


 聖なる力で感じ取って「届いた……」となるまでガッスガッス搾り取られる模様。


 その後滅茶苦茶セックスされた。

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