第17話 夏休み明けの相談

 今日は夏休み明けの登校日、文人は眠そうに学校に向かっている。


「ふぁ〜あ、眠い」


 あれから文人は夏休みの宿題を徹夜で終わらせた、だから寝ていない。


(居眠りしないように注意しないとな)


 そう思っていたら後ろから御山さんの声が聞こえた。


「おはよう、文人さん」


「あっ、おはよう御山さん」


「すごい隈ですね!大丈夫ですか?」


「ふぁ〜あ…大丈夫、徹夜してこうなっただけだから」


「そうなんですね、新学期もよろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いします」


 二人は他愛もない会話をしながら登校し、そして学校に着いた。


「そういえば、可憐が御山さんの家に昨日遊びに行った後、ちょっと落ち込んでる感じだったんだけど、御山さん何か知らない?」


「あの…………」


「別に話せないならいいよ、無理矢理聞こうとも思ってないから」


「気を使ってくれてありがとうございます」


「いいよいいよ、そんな事ぐらい」


 そんな会話をしていたら自分達の教室に着き、ドアをガラガラと開けて、いつもの自分の席に座る。


「ふぁ〜あ」


(マジで眠い、あー今になって早く宿題を終わらせばよかったって思ってしまっている)




 そこからの記憶はほぼなくいつの間にか昼休みになっていて、いつも通り弁当を屋上で食べている、御山さんと一緒に。


「文人さん、本当に大丈夫ですか?」


「うん、大丈夫だと思う」


「……そうですか、気分が悪くなったら言ってくださいね」


「うん、ありがとう御山さん」


「こんな時であれなんですけど相談があって……」


 神妙な顔つきで御山さんがそう言った。


「僕でよければ何でも聞くけど」


「あっあの!……もしもですよ!」


 そう言って御山さんが詰め寄って来た。


「うっうん」


「……もしも、親友に酷い事をして絶交されてしまった場合どうすればいいと思いますか」


(もしもって言ってるけど実際に御山さんにあったのかな、そんな感じがする)


 文人はそう思っているがその事は一旦置いておいて真剣に答える。


「うーん、まずは相手が何でそんなに怒っているのかを理解した上で自分の悪かった所を謝るかな」


「それでもしも謝罪を受け入れてもらえなかったら」


「そうだな……その場合は許してもらう何て事はもう無理だと思った方がいいよね」


「ならどうすればいいですか?」


「その人に対して謝るんじゃなくて償う、どんな行動を示すかは人によって違うけど、絶対に言えるのは許してもらうって方向性は100%違うと思う、そんな考えはただの傲慢さでしかないからね」


「そうですか……分かりました!」


 御山さんの曇った顔が晴れた。


「僕なんかでよかったの?そんな大事そうな相談」


「はい!私のやるべき事が何となくですけど分かったような気がします!」


「それならよかったんだけど」


「ありがとうございます、相談に乗ってくれて」


「いやいや、別に大した事は言ってないから」


 すると学校のチャイムが鳴る。


「あっ!御山さん!急いで教室に戻ろう!」


「はい!」


 そして二人は自分達の教室に戻って行った。




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