第16話 可憐と御山さん

 今日は夏休み最終日、僕は今まで少ししかやってこなかった宿題を一斉に片付けている、この地獄の作業を側で可憐に見られてる(監視されている)。


「はぁーだから言ったじゃん、そういうのは早く終わらせなよって」


「しょうがないだろ!ダラダラ過ごしたかったんだから!」


「全然理由になってないじゃん!」


(クソー!こんな宿題が無かったらマジで最高なのに!)


「あっ、もうすぐ時間だ」


「どっかに行くのか?」


「うん、才ちゃんと遊びに」


(本当に仲良いんだな可憐と御山さん)


 そう思いつつ文人は、やっと休憩ができると安心した。


「だから!私がいなくなってもちゃんと!宿題してよね!……もし!一回でも休憩なんてしてたら!お母さんに言ってやるからね!」


「わっ……分かってるよ」


(これで休憩すらもできなくたった、トホホ)


「じゃあ、私はもう行くからね」


「いってらっしゃい」


 そして文人は地獄の宿題三昧がまた始まった。


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 可憐は家を出て少し寄り道をしながら才ちゃんのマンションまで着いた。


(珍しく才ちゃんからの相談って、何だろう?)


 そうこの日、可憐は文人には才ちゃんと遊ぶ約束をしていると言ったが、実は前日に電話で相談があるから明日に家に来てほしいと言われて今に至る。


(とりあえずインターホンを押さないと)


 可憐はそう思って、とりあえずオートロックのインターホンを押して、少し経つと才ちゃんが出た。


『憐ちゃん、ドア開きますね』


「うん」


 すると自動ドアが開いた。


 可憐は才ちゃんの家の階に向かうが、明らかに才ちゃんの声が暗かった事が気になっていた。


(才ちゃん……もの凄く声から伝わるぐらい雰囲気が暗かった、そんなに大事な話なのかな)

 

 と考えていたら才ちゃんの家まで着いた、そしてインターホンを押したら才ちゃんが出た。


「憐ちゃん、入って入って」


「うん、失礼します」


 そう言って可憐は家に入って才ちゃんと一緒にリビングのソファーに座った。


「……早速になっちゃうんだけど才ちゃん、相談って何?」


 数分間、才ちゃんは黙っていた。


「……憐ちゃんと私は、コンクールの地区大会を通過して次はブロック大会に出場しますよね」


「うん」


「ブロック大会は棄権しようと思っています」


 そう言われた可憐の顔は少しだけ驚いた顔のなっていた。


「……どうして、最近の才ちゃんはピアノの調子も良かったじゃん」


「そうですね、文人さんのおかげで前までは人前で緊張してピアノを弾くのも嫌だったけど、今では楽しいです」


「まさかが原因?」


「そうです、にあの時は最低な事をしてしまったからです」


「確かに、あの時才ちゃんがやった事は桜さんの全てを侮辱したようなものだと思う、だけど!才ちゃんがまた、こうして受けたのには理由があるんだよね?」


「それは、桜さんに言われたんです、『来年もコンクールに出なさい!その時は私が実力でボコボコにしてあげる!』って」


「じゃあ尚更!」


「だからです!だから……私は……」


「私は正直言って、それは無責任だと思う……だけど才ちゃんが決める事だとも思う、でも今から棄権するっていうのはまだ早いよ、今が八月でブロック大会は十月、全国大会は十二月、桜さんに会うのは全国大会だからまだ四ヶ月もある!」


「……ですが」


「それに才ちゃんがブロック大会を通過するかも分からないんだから、もっと考えてからの方がいいよ、棄権してから後悔したらよくないから、私はこれで帰るよ、お兄ちゃんが宿題やってるか監視しないといけないからね」


 そう言って可憐は帰ろうとする。


「まっ!待ってください!」


「ごめんね、こればっかりは才ちゃんが考えて考えて自分が後悔しない選択をしないといけないと思う、私は答えてあげられないけどお兄ちゃんに相談したらそれらしい事は言ってくれると思うよ、それじゃあね」


 そう言って可憐は玄関から出て行った。


(才ちゃんはピアノを弾くのに楽しい以外の理由を求めてる、だけどそれは才ちゃんが見つけるものだから、だからこそ私はごめんだけど手伝えない)


 可憐はそう思いながら家に帰って、血眼になって必死に宿題をしている文人を見て笑った。




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