第5話 ゲームセンター

 御山さんに手を引っ張られて、途中迷いながらもゲームセンターのフロアに着いた。


「ここがゲームセンターですか!」


(まさか……ゲームセンターに来た事ないなんて流石にないか……)


 恐る恐る文人は御山さんに聞く。


「御山さんって……ゲームセンター来た事ないの?」


「はい!こういう場所にはあまり来た事がないです!」


「……そっそう」


(相当なお嬢様って事は理解しているつもりだった、だがゲームセンターに一回も来た事ないは!休日を全てゲームセンターに費やしている僕からするとありえない!)


 何とか平静を装おうとする文人だったが、心の中ではとても信じられないと驚愕している。


「そんなに珍しいですか、ゲームセンターに来た事がないって?」


(流石に聞き捨てならない!)


「御山さん……休日をほぼゲームセンターで過ごしている僕からすると、それは人生の娯楽を全て失っているも同然なんです!」


「そっそうなんですか……」


 御山さんが凄くドン引きしているが、文人はそんな事を意に介さず饒舌に喋り続けて五分が経過した。


「あっ…………」


 文人は自分がもの凄く喋っていた事、御山さんに現在進行形でドン引きされている事に気がついた。


「御山さんごめん!御山さんを無視して話を続けて!」


「大丈夫ですよ、どれだけ凡内さんがゲームセンターという施設に強い思いがあるのかが分かりましたから、それより早く遊びましょ!」


「……そうだね」


(やってしまった……、絶対に御山さんに変な奴だと思われた!)


 文人は少し気まずいながらも御山さんと一緒にゲームをする。


「凡内さん!あれをやりませんか?」


 御山さんがやりたいと言ったのは普通のリズムゲームだった。


「ピアノには自信があるのでああいうのは得意な方だと思います!」


「ふっ…御山さん甘いよ!、リズムゲームはピアノとは訳が違う、やってみれば分かるよ」


(ピアノとリズムゲームは圧倒的に違う、御山さんでも初見じゃ全くできないはずだ)


「……分かりました、このゲームで凡内さんをビックリさせてあげます」


 そして御山さんはゲームを始めた。


「……なるほど、このバチを使ってこの太鼓をリズムに合わせて叩けばいいんですね、凡内さん難易度ってどれがいいんですか?」


「どれでもいいと思うよ、でも初めてなら簡単とか普通とかの方がやりやすいよ」


「そうですか……ならこの一番難しそうな鬼にします!」


(何だって!僕でもフルコンボするのに半年はかかったのをやるのか!御山さんには悪いがクリアする姿が想像できない)


 そしてゲームがスタートした。


「あっ!やばいです!あっ!」


 と言いつつも御山さんは全てを完璧に叩けている。


(バッ!バカな!こんな楽々と叩けているなんて信じられない!)


 そしてその調子のまま、叩き終えた。


「案外簡単なんですねフルコンボ」


「御山さんがおかしいだけだから!」


 そしてその日したゲーム全てに御山さんは才能を発揮してクリアした。


(考えられない!やり過ぎでしょ天才だったとしても!)


 と落ち込む文人とは違い御山さんは満足そうな表情をしている。


「あー!これ可愛いですね!」


 そう御山さんはUFOキャッチャーの景品の大きめのパンダのぬいぐるみを指差した、だが御山さんはプレイをせずにずっと景品のパンダと睨めっこしている。


「取らないの?」


「UFOキャッチャーは苦手なんです!」


(御山さん、珍しく弱気だな)


 苦手と言いつつも御山さんはその場を離れようとしない。


「じゃあ取ろうか、御山さん」


「えっ!取れるんですか凡内さん!」


 俺はゲーセン人生の半分はUFOキャッチャーに費やした、この手のぬいぐるみなら三手で取れる。


「はい!これお金です!」


「お金はいいよ、取れたら御山さんが初めてゲームセンターに来た記念でプレゼントするから」


 そう言ってUFOキャッチャーにお金を入れる。


「よしっ!やるか!」


 一手目でぬいぐるみを落とす穴に近づけた。


「次はと」


 二手目でぬいぐるみを掴みやすいように調整する。


「これで終わりっと!」


 そして三手目でぬいぐるみをガッチリ掴みゲットした。


「よっしゃー!」


「うわー!!凄いです凡内さん!」


「約束通り、はい!」


 そう言って御山さんにパンダのぬいぐるみを渡した、すると御山さんの顔が幸せが溢れ出ている。


「ありがとうございます!一生大切にします!」


「こちらこそ今日は御山さんと遊べて楽しかったよ」


「あっ!ごめんなさい!、その用事の時間が来たんでここで」


「分かったよ、また来週」


「はい!また来週!」


 そして御山さんは去って行った。



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