第3話 屋上
(気まずい!流石に一回お互いの顔を見たぐらいしか面識無いのに!)
文人はどうすれば良いか分からず、案内というよりかは、ほとんど校内を歩いているだけの状況である。
「あのー凡内さん」
「はっ!はい!何か!」
(しまった!声が裏返った!でも案の定、気にはしてないみたいで良かった)
「その……コンクールの時はごめんなさい!」
そう言って御山さんは深々と頭を下げた、その姿を見た周りにいた人達から視線が凄い。
「えっとその!そんなに謝るような事じゃないから!顔上げて」
文人がそう言うが中々引き下がらない。
「でも!」
周囲にいる人達からの視線が更に凄くなった。
「周りにも人がいるからさ、その…顔を上げてくれるとさ、助かるんだけど……」
「はい、分かりました」
(ふぅー危なかったー!あの状況だけ見たらとんでもない悪人だと思われるところだった)
「それよりもさ!早く校内を回って、クラスのみんなと仲良くならないといけないでしょ!」
「はい!」
そして凄いスピードで校内を歩いて回った。
「もう、全部回ったから御山さんは教室で昼ご飯をクラスのみんなと食べたらいいよ」
「凡内さんは一緒に食べないんですか?」
「僕はいつも、教室じゃ落ち着かないから屋上で食べてるけど」
そう僕は教室に居てもどうせボッチだから屋上で食べてる(雨の時は屋上の扉の前の階段の所)。
「私と一緒に食べませんか?」
(うっ!可愛い!でもやっぱり御山さんからの頼みでもそれは無理だ!そんな事したらクラスの連中に殺される!)
「ごめんなさい、困らせちゃいましたか?」
「いや!全然困ってないよ」
「じゃあ一緒に屋上で食べましょ!」
と言いもの凄く顔を近づけてくる。
(近い!)
「いいですよね!」
(近すぎる!)
「うっうん、分かったから離れて!」
顔が目と鼻の先まで来て思考が停止しそうな文人は押し切られてしまった。
「じゃあ、僕は教室を出る時に弁当を持って来たから先に行ってるね」
「分かりました!じゃあ私はお弁当を取りに行って来ますから、絶っ対に屋上で待っててくださいね!」
そう言って御山さんは駆け足で教室に向かって行った。
(僕と仲良くなりたいって御山さん変わってるな)
そう思いながら屋上に行く。
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「ふぅーやっぱり屋上が一番落ち着く」
程よい風と気温、文人は眠気を感じるが御山さんを待っていると屋上の扉が勢いよく開いた。
「お待たせしました、凡内さん」
「じゃあ、食べよっか」
「はい!」
そして弁当を出すと、俺のは至って普通の弁当箱だが明らかに御山さんの弁当箱が重箱だった。
「すっ凄いね…そのお弁当箱」
「そうなんですかね、あんまり気にした事はありませんけど、それより早く食べましょう」
「そっそうだね」
(御山さんって風貌的にお嬢様なんじゃ)
だが文人は深くは考えないようにした、そして御山さんのお弁当箱が遂に開かれ、そこには彩り鮮やかなおかずが敷き詰められ、栄養バランスも考えられてそうなお弁当だった。
「……中も凄いね」
「はい、頑張って作りました!」
(この容姿で料理も上手だったら、もはや御山さんの結婚相手の方が想像つかない!)
文人は何とか落ち着こうとする。
「御山さんは料理も得意なんだね」
「趣味でよく作るんですよ、よかったら今度作りましょうか?」
「いやいやいやいや、流石に悪いよ」
「そうですか、では食べましょうか」
「うん」
「「いただきます」」
その日文人は思った、御山さんは完璧すぎるぐらい完璧だと。
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