第2話 受けちゃダメだ!

「凡内くんと知り合いなんですか、御山さん?」


 とさっきまで驚いていた先生が転校生に聞いた、その瞬間、クラスメイトが全員俺の方を見て『お前はどうなんだ』と文人に念を送っている。


(知り合いじゃありませんよ!と言いたいけどこの空気感じゃ流石に言い出しづらいよ!)


 文人は転校生にちゃんと否定してくれる事を願っている。


「えっと……友人みたいな親しい間柄ではありませんけど、顔見知りではありますね」


(ちょっとーー!!そこはちゃんと否定してくれないと!この視線から逃れられないじゃないか!)


 その転校生の発言を聞きクラスメイトからずっと『どういう関係なんだ』と念を送られている。


「あっ忘れてた!御山さん、みんなに自己紹介してくれる?」


「はい、御山才賀みやまさいかです、皆さんと素敵な学校生活を送れる事が楽しみです、よろしくお願いします」


 パチパチパチパチと拍手の音と何処かのチャラ男がヒューヒューと言っている。


「じゃあ凡内くんの隣の席が空いてるからそこに座って」


「はい、よろしくお願いします…凡内さん」


 こっちを見ながらニコッと御山さんは笑った、火に油を注ぎ続けているような状況になって、明らかにさっきより悪化している、まだ女子はフラットな目線だが、男子は恨みがましくこっちを見てくる。


「凡内くん、御山さんを昼休み時に学校の案内をしてくれる?」


(受けちゃダメだ受けちゃダメだ受けちゃダメだ!)


 男子からも『受けるな受けるな』という視線で文人に訴えかけている。


「それはとても助かります、凡内さんが迷惑でなければお願いしてもいいですか?」


「ぼっ僕でよかったら案内します」

 

 某SFアニメの主人公みたいなセリフを心の中で唱え続けた文人だったが美人の笑顔と頼み事には弱かった。


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 昼休み


(とうとう昼休みが来てしまった、おい!お前達!そんな目でこっちを見るな!)


 昼休みになった瞬間に文人は何人もの男子の視線から殺気に近いものを感じる。


(さっさと教室を出ないと)


「凡内さん、早く行きませんか?」


「うっうん、分かったよ」


 そう言って僕と御山さんは教室を出た。



 文人達がいなくなって少し経ったら、教室内も騒がしくなった。


「あの凡人が!いい思いしやがって!」

「あの子には俺みたいな超絶イケメンがお似合いなのさ、おんな平凡な男はお似合いじゃない」

「ヒョロガリのあいつよりも俺の引き締まったこの体の方が魅力的なはずだ、後々あの子は俺の体に惹かれる」

「あんな奴がいいなら、僕みたいなオタクでも付き合えそうだな、デュフデュフフフフ」


 と男子は誰が一番あの子に相応しいか選手権をやっている。


「男子キモッ!」

「御山さんが可哀想!」

「確かに釣り合っては無いけど」

「そんな事言うとか男子最低!」


 それを側から見る女子達のほぼ全員が気持ち悪がっている。



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