問題編・第4話

●四条探偵事務所 

葛西の話を聞いている四条達。竹下も戻ってきている。


葛西「……これが、10日ほど前の話です」

煙山「それで、旅行に出発したのは?」

葛西「一昨日の朝です」

煙山「事件が起きたのは?」

葛西「昨日の、夜中です」

煙山「……竹下。資料は届いたか?」

竹下「ああ、ほら」


タブレットで見せる竹下。操作して確認する煙山。

宗助「質問してもいいですか?」

葛西「なんでしょう?」

宗助「旅行に行くことは、斉川さんに話したんですか?」

葛西「ええ。話しましたよ」

宗助「それで彼はなんと?」

葛西「もちろん、日吉達に文句を言いに行こうとはしてくれましたよ……」


斉川が登場し、その時の様子を再現する。


斉川「なんやそれ! タチが悪いにも程があるやろ! もうあかん。俺がぶん殴ったるわ」

葛西「ちょ、ちょっと待って! 相手は3人だし、僕はノボルを巻き込みたくないんだ!」 

斉川「でも!」

葛西「ホントに! お願いだからやめて!」

斉川「……分かった。ほんまにええんやな?」

葛西「うん……」


際限が終わり、斉川がハケる。


宗助「葛西さんが止めたんですか」

葛西「僕は、ノボルにそんなことを頼むのは違うと思うし、ノボルが話を聞いてくれるだけで十分だったから……」

宗助「そうですか。じゃあ日吉たちと斉川さんは事件までに会ったことはないんですね?」

葛西「ええ。でも、3人の話はしてますし、特徴も教えてるので会えばすぐに分かったとは思います」


四条は考え込んでいる。


四条「一つよろしいでしょうか?」

葛西「はい」

四条「斉川さんのことを、お母さんはなんと?」

葛西「……母さんはノボルの事をあまり良く思ってなかったみたいです。高校生になって、ノボルと会うことが無くなった事を話したら、なんだか安心していたようでした」

四条「大学生になってからはどうです?」

葛西「こっちでノボルと再会した後に一度会っています。その時、改めて紹介しました。でもやっぱりよそよそしかったですね」

四条「よそよそしかった、とは?」

葛西「いつものように僕の部屋でノボルと話していた時のことです。たまたま近くに来たからと母が僕の様子を見に訪ねてきたんです」


真里が出てきてその時の再現をする。

チャイムが鳴る。


葛西「はい」

真里「裕司、どう? ちゃんと食べてる?」

葛西「うん。大丈夫。それより今友達が来てるんだ」

真里「そうなん?」

葛西「前に紹介したことあるでしょ。中学の時によく遊んでたノボル」

斉川「どうも、お久しぶりです」


真里、少し顔をしかめた後、斉川に向かってお辞儀する。


真里「どうも、こんにちは。いつも裕司がお世話になってます」

斉川「いえいえ、こちらこそ」

真里「裕司、元気そうやし、母さん帰るわ」

葛西「え、来たばっかりなのに」

真里「ええからええから、じゃあ……」


再現が終わって真里がハケる。


四条「……その後、お母さんに変わったことはありませんでしたか?」

葛西「うーん……。それからノボルが居ない時を狙ってだと思うんですが、頻繁に部屋の掃除をしにくるようになりましたが……何か関係があるんでしょうか」

四条「掃除ですか……どれくらいの頻度でしょう?」

葛西「大体2日か3日に一度です」

四条「なるほど……」


考えこむ四条。資料を見ていた煙山が葛西に向き直る。


煙山「やはり先ほどまでの貴方のお話はこちらの資料とも一致している。なによりここに貴方の名前が載っています。重要参考人としてね」


伏せていた顔をあげる葛西。


煙山「事件の起きた時の状況を詳しく教えてください。何故、貴方の友達が殺人を起こすことになったのか、そして何故貴方がその友達を殺すことになったのか……」


再び顔を伏せると、ゆっくりと語り始める葛西。


葛西「事件が起きた夜、日吉達は酷く酔っていました……」

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