第24話 【会えなくなったお友達2】
途方に暮れていた僕は耳を澄ませました・・・。
聞こえます。
足音のリズム、二人分。
この音は知っています。
毎日聞いていた音。
そして、これが聞こえたら今度は「チャリン」て音がしてガチャガチャって音がして・・・。
オトシャンとオカシャンが帰って・・・
キター!!!
随分と荷物が多くて、随分と疲れ切っているけど、また知らない人と一緒だけど。
とにかく僕らは捨てられていませんでした!
でも、プンプンですよ!一体どこで何していたんですか!
僕は悲しみから怒りに気持ちを切り替えました。
オカシャンは僕の機嫌が悪いことに気が付いてとろとろの舌の止まらないやつを差し出してきました。
これで許してもらえると思ってるんですか!?こんなもの、こんなもの無視
できないのが僕なんです。
とろとろの舌の止まらないやつをしっかり食べて苦情を叫び続けました。
「ここ最近ずっと変ですよ!なんなんですか?僕たちは大事な家族なんじゃないんですか!?」
そういえば、季節はいつの間にか暑くない季節になって、蛾にも蝶にも会えなくなってしまった。
また会えるかな?お友達はしばらく会ってなくてもまた会えたらその時遊べますからね。
家族は離れ離れになったら次の家族に出会えるかわからないし、元々の家族とは二度と会えないことがほとんどだという事を僕は知っています。
オトシャンとオカシャンもここ最近各地の沢山のお友達に会いに行ったんだそうです。
随分と遠い場所に住んでいるお友達のおうちに行っていたから他の人が僕たちのごはんを用意して寂しくならないように寝泊りしていたようです。
最近オトシャンとオカシャンが会いに行ったお友達たちはしょっちゅうは会えなくなってしまったようです。
今までだってしょっちゅう会ってたわけでもないので、間隔が伸びたって感じみたいですね。
僕もお友達と遊べる間隔は結構長いですからね。
すーちゃん?お友達じゃありません・・・一応家族です。
僕へのオトシャンとオカシャンの愛を半分奪っていったけど、あと少ししたらすーちゃんが来てから一年になります。
僕が知らなかったこととかも教えてもらったりしたし、病院という苦労を共にしてるし、
もう出て行くこともないでしょうから「家族」として僕も認めてあげようじゃないですか。
僕は勇者で心が広い紳士ですからね!
喧嘩?喧嘩するのは家族の証拠ですよね。
オトシャンとオカシャンもしょっちゅう喧嘩していますし。
それでも一緒にいられるのが家族ですか?
オトシャンたちが帰ってきたら、思い出したことがありました!
そうだ、交代で来ていたあの人たちは時々現れる僕を囲む会の人達だ。
ほんとだ、すーちゃんの言う通り僕知っていましたね。
僕を囲む会、
特に小さい人が僕と遊びたくて時々来ていたのですが、とろとろの舌の止まらないやつとかはくれますけど、グイグイ押し付けるようにくれるし、紐で遊んでほしいみたいで、付き合ってあげると触ろうとしてしつこくて
沢山で来るし、僕もすぐ隠れてたから気づきませんでした。
そういえば、僕を囲む会の人間たちもオトシャンの家族だったらしいんですよ。
あの去年の誘拐犯もオカシャンの家族だったようです。
家族も一度は離れてもまた会えることがあるんですね。
じゃあ、お友達と同じ間隔でも家族なのでしょうか。
蛾も蝶も僕のお友達だけど家族なのですかね?
でもオトシャンが追い出すから僕のお友達なだけですか?
すーちゃんみたいに僕が知らない間に家族になってるパターンもありますね。
お友達も家族も喧嘩して仲直りしてまた遊ぶこともあれば、離れて二度と会わないこともあるってことですね。
ここ最近オトシャンとオカシャンが会いに行った沢山のお友達たちは家族たちともしばらく会えないところにお引越しをしたんだそうです。
僕も引っ越しは本当に散々したから大変さは分かります。
家族もその度変わっていったから、きっとお友達たちは新しい家族の元にお引越ししたのでしょうと経験者は語る僕。
僕たちには選択肢があまりなくて、人は選択を自分でできるから自分で家族を選ぶことが出来ると思うでしょ?
僕たちも人もスタート地点はランダムで目的の安心できる居場所を見つけるのはかなり大変なことは同じなのです。
時には会いたかった人がいる自分の居場所だと思ってた場所で残酷にも殺されてしまうこともあります。
それでも、出会えたとしたら、お友達になれたとしたら、家族になれたとしたら少なくとも縁があるってことですね。
一生では出会えないこともあるけど、その一生で最期の方に出会えることもあるみたいですね。
僕ちょっと哲学もいけますか?
そんなことよりも、オトシャンとオカシャンは夏場から慌ただしく黒い服を着て出かけては時折泣いて、お友達に会えなくなったと言っているんですが。
気づいてないですか?
僕を囲む会でもない、知らない人たちがオトシャンとオカシャンに会いに時々来ていること。
黒い服を着て行く時は毎回連れて帰ってきたじゃないですか。
朝にはいなくなるけど僕とも遊んでくれるから僕はしょっちゅう会えてますよ。
今や、オトシャンとオカシャンのお友達は僕のお友達ですね。
すーちゃんは知らない人はどうやら怖いから囲む会も含めてガン無視決め込んでます。
このオトシャンとオカシャンのお友達たち、しばらく来てたと思ったら来なくなった人もいるんです。
さて、どこにいっちゃったのかな?会いたい人に会いに行く道を選んだかな?
兎にも角にも、僕らはオトシャンとオカシャンにまた会えました。
そして、季節は暑い季節を完全に終え、僕はふわふわの衣装に着替えて寒い季節へと移ろうのでした。
そして、ある日の朝、僕は寝ているオカシャンをトントンと起こしてあげることができたのでした。
因みにオトシャンはビクッとして、僕がケガをしそうなので寝ている時はやめておこうと思いました。
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