第8話 家族が風邪をひきまして
色んな事があって大嫌いな病院に散々連れて来られた僕でしたが、最近は痒いこともなく、おしっこも問題なく、4か月に一回の定期健診だけ
(本当はこれも行きたくないが仕方ない)になりました。
僕は健康です。
オトシャンはだいたい1か月の間に8日ほど休み。と言って家に明るい日も居ることがあるが、休みでも出かけて行くことはあります。
それ以外は明るい日の二日目くらいから暗い日の1日目位まで仕事というものに出かけていきます。
オカシャンはというと明るい日の1日目から仕事に出かけ、明るい日の2日目が始まった頃数時間帰ってきたり、帰ってこなかったりしてだいたい暗い日の1日目の途中で帰ってきます。
休みはあるようだけど一か月に6日あるかないくらいみたいです。
僕はオカシャンがセットしている目覚ましアラームが鳴る時間が数秒前にわかるのでその頃になるとオカシャンが寝ている場所の上に乗って
「朝だよー!おきろー!」と叫んで起こす。オカシャンはそんな僕を撫でてくれます。
でも、いつもなかなか起きません。アラームがなっても、いつも何度寝もします。
諦めたころに大慌てで飛び起きたオカシャンは急いで出かけて行くのでした。
もう。あんなに一生懸命僕が起こしてあげたのに…。
たまにあまりにも起きなさ過ぎて迎えが来たりする程です。
オカシャン寝起き悪いんですよね。そもそも寝るのが暗い日の一日半頃だから暗い日の半日くらいしかオカシャンは眠ってないみたいですが。
オトシャンは寝る時間はオカシャンと同じだけど起きる時間は、オカシャンが出かけた後、明るい一日目が終わる頃目覚め僕たちのごはんやお水、ホットカーペットをヌクヌクにしてくれて出かけて行きます。
そのあと僕はというと、高いところから窓の外を眺めながら寒くなったらホットカーペットで寝たり、ご飯を食べたり、部屋のあちこちにまだ知らない場所がないかを探索しています。
そんなことをしているとだいたいオカシャンが一度帰ってくる時間になる日々です。
数時間オカシャンに甘えながら更なるごはんの要求をしたりする僕だけど、
ある日、オカシャンは帰ってくるなり僕の部屋の足元が不安定なフカフカした冷たい場所に寝そべりました。
どうやら、オカシャンは流行り病のインフルエンザというものに罹ったようです。
39度もの熱を出して寒そうにしています。
いつも僕を捕まえて抱きしめようとするオカシャンが元気がありません。
僕は変化が嫌いです。
その日からオトシャンは寝室で眠りオカシャンはホットカーペットの端に布団を敷いて眠るようになったのです。
どうやら隔離というものらしいのですが、オトシャンは隔離されるのがどうやら苦手みたいでちょいちょいオカシャンのいる僕の部屋にいつものように来ます。
暗い日になるとオトシャンはオカシャンにごはんを作り食べさせ、オトシャンも一緒に食べているます。
隔離とはどういう意味なんでしょう?
オカシャンがインフルエンザというものに罹ってから間もなく、オトシャンもインフルエンザに罹ってしまいました。
隔離は見事に失敗したのです。この二人の隔離は意味がないことが分かりました。
僕はというとホットカーペットの妖精なのもあるけど、オカシャンの傍で寝ていました。
もちろん大好きなオトシャンの事も心配なのでオトシャンと寝ることも試してみたのですが、オトシャンはとにかく寝相が悪い!
僕がいるっていうのに大きく動くため、いつ潰されるか不安でうっかり眠ることができないのです。
その点、オカシャンは寝相があまり変わらないので、安心して傍で眠ることが出来るのです。
アラームは設定されていないようで直前の音がしないので僕はオカシャンが元気になるまでずっと、ホットカーペットの上で眠るオカシャンの手にそーっと手をのせて看病をしてあげました。
1か月程してオカシャンもオトシャンも元気になったようで、またいつもの日常が再開しました。
ホッと一安心しました。
そう、僕が風邪をひくまでは…。
僕の場合はインフルエンザではなかったのですがよくあるものみたいです。
僕はこうして、二人の心配をして献身的な看病をしたのにもかかわらず、またあの病院に連れていかれることになってしまったのです。
先生は「まぁ、風邪でしょうから薬を飲ませれば治ると思いますよ」と言っていましたが、オカシャンは不安そうです。
「その薬は苦いですか?」と先生に聞いていました。
それでも、オカシャンは薬をもらい僕に与えようとします。
あのとろとろの舌が止まらなくなるおやつに異物が混入されていることに僕は気づきました。
そういえば、以前もそんなことがあったような気がするけど、忘れちゃったな。
僕は上手に異物を残してとろとろした部分だけ食べることに成功しました。
オカシャンはがっかりしていながらスマホで調べ物をし始めました。
そして僕を僕が嫌いなお風呂の近くの部屋に連れて行き無理やり口を開けて薬を入れて口を手で開かないようにしました。
これは虐待じゃないですか!
それを2日に1回やられるもんだから僕も頭を使って考えました。
オカシャンはどうやら僕の口に薬を入れた後閉じた口から舌を出すことで薬を飲みこんだと確信するようなので僕は薬を上の歯茎に張り付け、舌を出しました。
「じゃこさんいいこだねー」とオカシャンが安心した頃、「ペッ!」と吐き出してやりました。
オカシャンはびっくりしながらも懲りません。
僕は薬を飲みたくないんですよ…わかってくれるでしょ?皆さん。
錠剤を諦め、粉薬を混ぜたらどうだろうかという先生からの提案でとろとろの舌の止まらないやつにオカシャンはまっずーい粉薬を混ぜ始めました。
僕の唯一のご褒美がご褒美ではなくなってしまったではないですか。
何にも入っていないとろとろの舌の止まらないやつをもらっても警戒するようになりました。
オカシャンは想像通りという顔をして、薬を固めて飲ませようとしたり、錠剤を再度トライしてみたりととにかくしつこいのですが、僕は上手に「ペッ!」としてみせるので、とうとう諦めたようです。
薬は一切飲ませなくなりました。
そして、オカシャンの休みの日が来ました。
オカシャンは僕が上手に薬を隠して吐き出すことを先生に報告すると最後の手段だと言って僕の背中の皮膚を引っ張ってチクッっと痛いものを刺して何か液体を入れました。
その日はその注射というものを刺されたせいで僕は風邪よりもグッタリしてしまって眠る時間が増えました。
オカシャンもオトシャンも心配していましたが暗い日が二日過ぎると随分と元気いっぱいになりました。
家族に心配をかけると今のところ病院に連れていかれることが分かった僕でした。
そういえば、今回オトシャンやオカシャンが病気になった時も僕は心配だったから傍にいて熱を測ってあげたんだもんな。
家族には元気でいてほしいって気持ちは僕もオトシャンもオカシャンも同じなんですね…。
オカシャンはよく僕に「元気で長生きしてね」と言いますし。
僕もそう思っていますよ。ずっとこんな暮らしが続けばいいのにって。
あれ?なんか忘れてることがあったような気がするけど、今日もとろとろの舌の止まらないやつや、小さな袋のスナックおやつも美味しいし、まぁ、いっか。
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