第6話 僕の安心毛布

 大好きなオトシャンとオカシャンが僕が大嫌いなあの箱を組み立て始めて、


僕は不安が募り、家中を走りまくり、各所で出もしないおしっこを頑張って捻りだしまくって叫びまくって抗議をしました。


弾丸が装填されていなかったので…仕方なくおしっこにしました。


すると頑張りすぎてしまったのか不安が強かったのかおしっこにどうやら血が混じってしまって、それをみるなりオトシャンもオカシャンも大慌て。


あの箱は完成しましたが寝室の奥のほうにしまわれました。


僕は少しほっとしましたが…なんと次の日。


まーた、病院に連れていかれてしまいました。


いつものように小さな箱から無理やり出された僕はいつもとは違う部屋に連れていかれて僕のデリケートな部分に先生が管を刺して痛い思いをさせやがりました。


もちろん羽交い絞めにされている僕はひたすら怒鳴り散らしましたが、


その管から無理やり血の混ざったおしっこを取り出した先生は僕に


「おお、じゃこよく頑張ったね」と言ってくれて解放してくれました。


箱に自主的に戻った僕はオトシャンとオカシャンが先生と話しているのを聞いていました。


先生曰く、「ストルバイトの結晶が見えるので食事を変えたほうがいい」とのことでした。


オカシャンは個室を組み立てている時に突然そうなったため個室のトラウマによるものじゃないかと心配していました。


その日から僕のごはんは変わりました。


なんだかペラペラしていて食べにくいけどどうせ僕は丸のみしかしないので最初のうちは食べてもみましたが、


正直言って美味しくありません。すぐに飽きてしまいました。


結局あの個室に入れられることはなかったのですが、一体なんのためにオトシャンとオカシャンはあれを組み立てていたのでしょう?


美味しくないご飯ではいつもどうりにまぁいっかとはいきません。


しかも、おしっこが赤くなくなるまで、暗い日の美味しいごはんもおあずけらしく、僕は美味しくないペラペラのごはんを仕方なく食べるしかありませんでした。


抗議が裏目に出ました。


嫌々病院にも行ったにもかかわらずあのとろとろの舌が止まらないやつもくれなくて、イライラは募るばかりです。


さすがに可哀そうだとおもったのかオカシャンが一人で出かけた時に買ってきたあのとろとろの舌の止まらないやつを「やったー!」と一舐めて、がっかりしました。


まずいのです。


食えたもんじゃありません。どうやら病人用のものを買ってきたようで一舐めでプイっとしてやりました。


季節は寒い季節になってきて、暑い季節に奪われた僕のファーも暖かい状態になってきましたが適温になっているこのおうちでも、


眠るときには肌寒くお腹も冷えてどうしようと思っていました。


オトシャンやオカシャンも寒いようで大きな毛布のようなものを床に敷いてそこにくつろいでいました。


「じゃこさんおいでー。」と言われるとなんか嫌な予感が最近するのでプイっとしていました。


オトシャンとオカシャンが寝静まったころ僕はこっそり新しい床に敷かれた毛布に乗ってみました。


なんともいえないヌクヌク!こりゃたまらん!僕はその日からそこで眠ることにきめました。


そこはだいたい2日でヌクヌクじゃなくなってしまうので、オトシャンを起こしにいきましたがオトシャンは基本的に僕が呼んでも起きません。


オカシャンは起きても、ごはんとお水とトイレを見て頭を撫でてまた寝てしまいます。


困りました。僕はこの毛布のヌクヌクを感じていたいのです。


仕方なく毛布に残ったヌクヌクの余韻に浸ったまま明るい日を迎えるとオカシャンとオトシャンが大喜びしています。


僕がヌクヌクな毛布で眠っていたことが相当嬉しかったようです。


そのあとすぐに毛布はまたヌクヌクになりました。


あお向けて寝てみたり、横向きで寝てみたり、少し暖かすぎるかなって時は毛布の上にある一段高い僕の居場所で温度調整をしながら快適な場所で眠るようになりました。


このおうちに来たのは暑い季節だったので僕はこれを初めて経験してこの毛布は僕の安心毛布になりました。片時も離れません!


その姿をみてオトシャンは「じゃこはホットカーペットの妖精だねぇ」とアレを向けてカシャカシャ音を立てます。


どうやら執事さんたちや家政婦さんたちオトシャンやオカシャンが僕に向けるアレは「スマホ」と言うらしく僕の写真や動画を撮ることができるものらしいです。


オトシャンやオカシャンのスマホを後ろから見ると僕の写真がいっぱいです。


ほほう、そんなに僕はモデルとしても才能が溢れていますか…。多才な僕ですねぇ。


でも、確か遥か昔…同じような僕の写真を撮るものは別の形だったような…あれ?この記憶はなんだったかな…。


暖かい毛布が来てからはおしっこにも血は混じらなくなって日ごろのごはんは相変わらず美味しくないですが暗い日の美味しいごはんは復活しました。


病人用のとろとろもあれから一度も差し出さなくなったので僕が美食家であることはオカシャンにちゃんと伝わったようです。


美味しいものを食べて暖かい場所で眠るようになった僕は例のことをすっかり忘れてしまっていました。


そういえば、前に何度か懐かしい匂いをオトシャンとオカシャンがつけて帰ってきた日もあったことも、


日々の美味しいごはんですっかり忘れていたことに、僕はもうすぐ気が付くのでした。


僕の最強の敵がまさか現れるなんて、この時の僕は想像もしていなかったのです。

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