第3話 偶然ではなく必然

 さて話を戻します。


 メイちゃんが出会ってしまった私の小説。


 もちろん、私の小説は別に人気作じゃないので、トップページに乗っているわけはありません。


 つまり、彼女が検索した結果、出会ってしまったのです。


 なぜ出会ってしまったのでしょうか。


 私の小説のジャンルは、ほぼ「現代ドラマ」です。


 メイちゃんの好きな歴史ではありません。

 女の子が興味があるような恋愛系でもありません。

 人気のファンタジーでもありません。



「メイちゃん、この小説、どうやって見つけた?」

 私がおそるおそるたずねると、メイちゃんは当たり前のように答えました。

「検索したら出てきた」

「何って検索したの?」

「『竹中』って検索した」


 一番はじめにお伝えした通り、彼女の推しの1人は竹中半兵衛です。


 私には知識が無いので、軍師、というくらいしかわかりません。


 ただ、それをメイちゃんに言うと、すっごい早口ですっごい熱量で説明してくるので、あまり竹中半兵衛の事はメイちゃんの前で言わないようにしています。


 オタクは、早口。それは子供でも変わらない。



 そんな事はどうでもいいです。



 私は再度メイちゃんにたずねます。

「『竹中半兵衛』じゃなくて、『竹中』で検索したの?」

「だって、竹中半兵衛って、本名が竹中重治じゃん?どっちで書いてる人も見つけたいって思って」


 誰だよ重治って、という言葉を飲み込み、私は説明します。

「あのね、小説書く人は、皆読んでもらいたくて、見つけてもらいたくてタグとか説明文つけてるからね。だから、大抵は一般的な名前の方をつけるからね。重治は無いと思うよ。竹中半兵衛で検索で十分なんだよ。むしろその方が、余計なの出てこないから探しやすいよ」


 私の言葉に、メイちゃんは頷きます。

「じゃあ、真田幸村は幸村で十分なんだ。真田繁信は検索しなくていいってこと?武田信玄は武田晴信を無視していいってこと?」


 うん、全然言ってる事よくわかんないけどそういう事。



 ともかく、原因がはっきりしました。


 その時メイちゃんに見られた私の小説がこちらになります。

 別に小説に誘導しようとしてるわけじゃないけど、説明するより見てもらったほうが早いので。

 ↓↓

 https://kakuyomu.jp/works/16817330667565748195


 そうです。主人公の名前です。

 主人公の名前が、竹中智紀です。

 それに引っかかったようです。

 時はカクヨムコン真っ最中。

 かくゆう私も、ほぼ毎日こちらの作品を更新しておりました。


 メイちゃんは、キーワード検索で「竹中」と検索し、かつで見たようです。


 そう考えると私も良くなかった。


 確かに、登場人物の名前を考えるのが面倒なので、ついそのへんで見つけたメイちゃんの「コミック版日本の歴史 戦国人物伝 竹中半兵衛」を見て主人公の苗字を決めてしまっていました。


 なので、もはやこの邂逅は、偶然ではなく必然。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る